2010年02月06日

秘境駅へ行こう!/牛山隆信

『秘境駅へ行こう!』を読んだよ。幹線上に存在するのに、“秘境”とは此れ如何に。

鉄オタまで行かないけれども、乗り物好き、鉄道好きのアッシ。中学時代は時刻表も愛読。
酒井順子の『女子と鉄道』を読んでから、ちょっと鉄オタ魂が復活して、図書館サイトで鉄道関係を検索。
で、見つけたのがこの本。サラリーマンの筆者が休日と格安切符を駆使して、日本全国の秘境駅を巡る本。

まずは、「秘境駅」の定義。明確には示されていないけれども、「断崖絶壁や深い山中、無人の原野など立地条件が厳しい駅」などを秘境駅としているよ。そう、要は周りに何もなく、且つ辿り着くのが困難な駅。列車に乗れば難なく辿り着くことができるのに…という前提条件が付くけれども、その前提条件ですら、クリアできない秘境駅もあるんだけれどもね。

さて、どんな秘境駅が登場するのか。幾つかを紹介。

まずは、安中榛名駅。そう、長野新幹線の…。
どれだけ秘境度が高いかというと、「16時頃の東京行きの列車から降りた乗客がひとりだけ」、「16時過ぎに来た客が昼過ぎから初めてのお客さんという釜飯屋」、「新幹線の駅なのにキヨスクが撤退」など、山中の秘境駅とは違う意味で、秘境度満点。タクシーも少なく、JR在来線の最寄り駅までバスは1日10往復だけ。つまりは、「辿り着くのが困難」という前提条件をきっかりクリアしているわけ。

そして、高千穂鉄道の影待駅。
筆者の表現が極端だから、そのまま引用。
「なんじゃ、ここは!」
すごい!あまりにもすごすぎる。
連続するトンネルのあいだに空いたわずかな地上部分につくられた駅は、断崖絶壁に狭いホームと待合室があるだけで、人家がまったくない。いや、それどころか、人家をつくろうと思ってもつくれない!
と。写真で見ると確かにそう。駅へ行く道もほとんど山道。やっぱり、凄いかも。

さて、いろいろな秘境駅。山中の秘境駅は、以前は信号所やスイッチバックの基地だったところが多いみたい。だから、当然旅客扱いを前提としていないわけだから、人家があるなしは関係なかったんだろうね。それでも、国鉄時代は親方日の丸だから、少しでも人家があって、地元の要望があれば、旅客扱いの駅にしたみたい。

そして、筆者は待合室さえあれば、駅寝する。そう、こんな秘境駅でも待合室があるのがすごく不思議。そんなわけで知れば知るほど、奥が深くなる秘境駅の謎でした〜。
秘境駅へ行こう! (小学館文庫)
秘境駅へ行こう! (小学館文庫)
小学館 2001-07
売り上げランキング : 74200

おすすめ平均 star
star文章で読ませてくれていたなら
star秘境駅か…。
starユーモアあふれる自由な汽車旅

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by りすじぃ at 09:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 20歴史

2010年02月04日

奇跡のリンゴ/石川拓治,NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班

『奇跡のリンゴ』を読んだよ。『沈黙の春』の農薬問題と重ね合わせて。

内容的には『リンゴが教えてくれたこと』と重複。この『リンゴが教えてくれたこと』は木村秋則氏本人が書いたものだけど、本書はNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」の取材をベースに、ノンフィクションライターが書いたもの。
勿論、ところどころのエピソードには多少の違いはあるし、プロのライターが書いたものだけに、話の盛り上げ方が違うかも。

前半は木村氏の半生から無農薬無肥料のリンゴ栽培に挑戦するまで。きっかけとして、農薬の問題が一番大きいのだけれども、それに関連して本書の中で何度も出てくるのが「根絶やし」という言葉。ヨーロッパの葡萄果樹園の景色は美しい。でも、それは他の植物を排除することによる人工的な美しさなわけ。
それは、本来ならそこに存在していたはずの在来の植物や昆虫や動物を根絶やしにした景色でもある。
それは果樹園だけではなく、米を作る田圃もそう。農業とはそういうものなんだよね。

木村氏が酔って気分がよい時にするという不思議な話。UFOに遭遇したという話をするという。これを筆者は、UFOと無農薬のリンゴが木村氏にとって不可能の象徴なのだと分析する。
パイオニアは孤独だ。
<中略>
それは既成概念を打ち壊すということだから。過去から積み上げてきた世界観や価値観を愛する人々からすれば、パイオニアとは秩序の破壊者の別名でしかない。
<中略>
人は変化を恐れる生き物なのだ。
<中略>
木村もまた同じ種類の、人が本能的に持つ恐怖心を相手にしていたわけだ。
<中略>
彼が受けていた有形無形の圧力がすさまじいものだったことは想像に難くない。
こういう分析はライターならではのもの。本人がそう語ったわけではないのだろうけれども、うんうんと頷かせる記述だよね。

最後に木村氏のいう「百姓」に対する考え方を紹介。
「だけど、それじゃ百姓は出来ないんだ。百姓は百の仕事という意味なんだよ。百の仕事に通じていなければ、百姓は務まらないのさ」と。
そう、これこそ阿部謹也先生のいう教養のある人なんじゃないか〜。学者顔負けの研究実績を積み重ねているんだよね。筆者は、学者との違いを方法論の違いなのだと言うけど。

単なる一農家の感動のドキュメンタリーでは終わらず、ちょっと哲学チックな味わいがあり、科学が自然哲学から起こったことが納得できる一冊でした〜。
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
幻冬舎 2008-07
売り上げランキング : 702

おすすめ平均 star
star奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
star一気に読んじゃいました
starもったいない

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by りすじぃ at 06:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 60産業

2010年01月30日

あなたにもわかる相対性理論/茂木健一郎

『あなたにもわかる相対性理論』を読んだよ。アインシュタインの脳の使い方。

去年の9月にPHP研究所から創刊された「PHPサイエンス・ワールド新書」。そのNo.1が本書。No.1というのはともかく、新書好き、科学好きのアッシにとって、この新書の創刊はなにげにうれしいもの。今現在でも読みたい本が続々と発刊されて、目移り且つうれしい悲鳴。

で、創刊No.1の筆者となったのが、茂木さん。テーマはアインシュタイン。本のタイトルは『あなたにもわかる相対性理論』なので、相対性理論がテーマかと思うけど、その解説は必要最小限。アインシュタインの伝記というか、アインシュタインの人生を通して、その理論を概説するっていう感じ。

では、アインシュタインの研究に向かう態度とはどんなものか。それは、常識と呼ばれることに立ち戻り、批判的態度で疑って見ること。かのカール・マルクスも、「そもそも貨幣とは?労働とは?」と前提を問い直すことで革命を起こしたわけ。アインシュタインが学生時代に読んだエルンスト・マッハの著書には、ニュートン力学という当時の常識に対しての問題提起があったが、アインシュタインの態度も同じだったという。
そこでアインシュタインが根本の原理として考え直したことは何か。それは「同時である」とは何か?ということ。その結果、「同時である」ことは自明でも何でもなくて、不可思議な結論を見いだす起爆剤にもなり得ることがわかったのだと。
そう、常識の上に立っていては改革はできたとしても、革命は無理なんだろうね。

アインシュタインの信仰心も興味深いよ。一般的な宗教は信じず、無宗教者だったけれども、この宇宙をつくった神と、宇宙の秩序に対しては、深い畏敬の念を抱いていたという。そして、「どの宗教を好むか」と聞かれ、
「世界の前にみずからを啓示する高い理性への深い直感的な確信が私の神の概念です。それ以外には、私は伝統的宗教との関わりを持ちません」
と答えているのだとか。
そして、その後には、「宇宙宗教」という言葉まで発しているようだよ。宇宙の秩序を知れば知るほど、その偉大さに驚き、畏敬の念を感じるのは誰しもあることだよね。それそのものを神と捉えることが、またアインシュタインの偉大さなのかもしれないね。

相対性理論やアインシュタインの認識論的な考え方は、芸術の世界にも影響を与えたとか。
例えば、パブロ・ピカソのキュビズム。画家の視点が一点ではなく、さまざまな視点から対象を描写し、それを相対的に並べるキュビズムは、さまざまな慣性系から世界を見た相対性理論を彷彿とさせる手法ではないかと茂木さん。サルバトール・ダリの『記憶の固執(柔らかい時計)』も然り。シェーンベルクに代表される無調音楽も然り。
そう、この芸術への影響の事例は、相対性理論を理解するのに分かりやすい例かも。

茂木さんの科学解説本は珍しいかも。それに、アインシュタインに憧れていたなんて…。相対性理論の解説本は幾つか読んでいるけれども、相対性理論そのものを幾つかの視点で見るのもまた喜し。そう、まさに相対的な考え方だよね。
あなたにもわかる相対性理論 (PHPサイエンス・ワールド新書)
あなたにもわかる相対性理論 (PHPサイエンス・ワールド新書)
PHP研究所 2009-09-19
売り上げランキング : 62145

おすすめ平均 star
star20世紀の産物、相対性理論。
star相対性理論というよりは、アインシュタインの伝記
star相対性理論=アインシュタインの生き方

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by りすじぃ at 19:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 40自然科学

2010年01月27日

この国のかたち〈3 1990~1991〉/司馬遼太郎

『この国のかたち〈3 1990~1991〉』を読んだよ。こんなにも日本史が面白いなんて。

『この国のかたち』シリーズの3冊目。3冊目くらいになると、マンネリとかパターン化するなんてことが一般の書籍ではよくある話なんだけど、どうも本書はその傾向がまったく無し。アッシ的にはますます日本史が楽しくなり、学校のときにこういう日本史を教わっていればなぁ〜なんて思う。

まずは、筆者が得意の明治維新。欧米で見習うべき国はたくさんあった。日本はなぜかドイツに傾斜していく。医学がドイツ、憲法がドイツ、陸軍がドイツ。筆者もこれは「なぜ?」と叫びたくなるくらいだとも言っている。その結果、
いえることは、ただ一種類の文化を濃縮注射すれば当然薬物中毒にかかるということである。そういう患者たちに権力をにぎられるとどうなるかは、日本近代史が動物実験のように雄弁に物語っている。
となる。動物実験…。それにしても、手厳しい動物実験だったわけだ…。

アッシが注目したのは、明治14年の東京物理学校(今の東京理科大学)の創立の経緯。東京大学の理学部物理学科の卒業生が夜間の私学を興したという。しかも、資金は維持同盟の会費を集めることで賄ったという。まさに私学が寄附から成り立つという原点のような。さらには、東京大学の教員や実験機材などを借りることで授業を行っていたとも。昼間は東京大学で教え、夜は実験機材を運んで東京物理学校で授業なんてことをやっていたとか。
官物が私的に使われることはゆるされることではないのだが、あえて大学はこの便法をとった。配電盤が、国家の将来のために志をもって漏電していたのである。
と。さらには、明治、法政、中央、専修、日本などの神田の法律学校も夜に開講していたのは、東京大学教授の都合に寄ったとか。つまりは、
神田の私学は地縁のおかげで、いわば私的に電流を流してもらった。
と。なるほど、地縁というか、あえて電流を流してもらうために神田を中心に学校が集まったんだろうね。

東京への遷都についても、アッシの知らなかったことが…。
大久保利通らは、京都を離れ、大坂に遷都しようとしていたのだが、ある人物からの投書により、江戸への遷都を決めたという。その投書は、大きな構想力を持った意見で、精密な思考が明晰な文章で述べられていたという。投書の主は前島密。今の東京の発展は彼の構想力のお陰。こうしてアッシが東京で暮らせるのも、彼があったことなのかと思うと、なんだか不思議な感覚。

それにしても、明治維新。メディアに頻繁に登場する人物だけでなく、いろいろな人物があってこその明治維新。改めてそれを思った1冊でした〜。
この国のかたち〈3 1990~1991〉
この国のかたち〈3 1990~1991〉
文藝春秋 1992-05
売り上げランキング : 299204

おすすめ平均 star
star歴史を切り貼りする
star秀吉は「パラノイア」だったか?
star司馬流歴史小咄

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by りすじぃ at 06:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 20歴史

2010年01月24日

ニュースの読み方使い方/池上彰

『ニュースの読み方使い方』を読んだよ。メディアの世界もさまざま。

最近気になる池上彰氏。直近で読んだ『「見えざる手」が経済を動かす』でもそうだったけれども、その分かりやすい説明は天下一品。本書にも書いてあるけど、NHKの「週刊こどもニュース」も分かりやすさ故に大人の視聴者も多かったとか…。

さて、本書。
記者出身の著者だから、記者時代の体験をベースにメディアへの向き合い方をテーマに書かれたもの。メディアの裏話風も多数有り、楽しめるよ。

例えば、TVのニュース番組。
NHKと民放の伝え方に違いがあるのはよく分かるけど、放送時間によっても、伝える立ち位置が違うと。そう、夜の遅い時間は地方の農家や漁業の人たちはもう寝ている時間。自然に視聴者は大都市部のサラリーマン。だから、伝える視点がそちら寄りになる。農業問題だったら消費者の立場の見方、高速道路問題だったら無駄な公共事業という視点でということになる。ニュースもいろいろな視点があって、逆に見る方もそういうものだと思って見ると、また面白いかもね。

情報収集の方法については、「問題意識」を持つことだと筆者。問題意識を常に持つ態度でいると、そのテーマの情報が向こうから飛び込んでくるという。
あるいは、書店めぐりをしていると、関連した書名の本が、書棚で「おいでおいで」をしています。不思議ですね。
うむ、これはまさにセレンディピティではないか?別の場所でも書かれているけれども、お風呂に入っている途中でアイデアが思い浮かぶとかいったことも同じかも。アッシの場合、頭を洗っているときに、よく思いつくことがあるけど。

ニュースで使われる用語の話も面白い。
例えば、国際連合。英語だと「United Nations」。直訳すれば「連合国」。そう、旧敵国なわけ。第二次世界大戦の連合国が、二度と戦争が起きないようにしようとつくった国際的な枠組み。だから、日本が「United Nations」に加盟するときに、「連合国」に加盟するというイメージを避けるために、意図的な訳をしたのだと。他にも、PKO(平和維持活動)や日米構造協議なども。アメリカから要求された「規制緩和」も英文を直訳すれば、「規制撤廃」だとか。
あ〜、オブラートに包む表現が、なんとも日本人的。

ニュースの見方、新聞の読み方、Internetの使い方など、プロの記者から見れば、やっぱりそれぞれに違いがあり、使い分ける。そう、一般人だとのんべんだらりと流してしまいがちだけど、ちょっと見方を変えると面白い発見があるかも。これからのメディアへの接触の仕方をちょっと変えてみようかなぁ〜。
ニュースの読み方使い方 (新潮文庫)
ニュースの読み方使い方 (新潮文庫)
新潮社 2007-10
売り上げランキング : 14621

おすすめ平均 star
star情報が氾濫している今こそ読むべき
star池上版「思考の整理学」:情報のインプット〜アウトプットの心構えは普遍的だと再認識
star情報収集・発信について幅広く記述

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by りすじぃ at 07:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 00総記

2010年01月20日

100年の難問はなぜ解けたのか/春日真人

『100年の難問はなぜ解けたのか』を読んだよ。数学とはどこまで恐ろしい学問なのか…。

2007年10月にNHKスペシャルで放映されたことがある同名番組を書籍化したもの。アッシはその番組を見たけれども、どうもその記憶が薄いような。
で、もう一度、その難問に挑んだ数学者の物語を読みたくなり、図書館で見つけたその日に借りることに。

その難問とは「ポアンカレ予想」。そして、その難問を解いたのはロシアの数学者ペレリマン博士。
100年の難問と言われていただけに、ペレリマン博士は当然のごとくフィールズ賞を受賞したのだけれども、博士はそれを拒否。賞金は100万ドル。あ〜、もったいない…。

さて、その難問を解く長い物語の前に、まずはポアンカレ予想とはどんなものか。ずばり、「単連結な三次元閉多様体は三次元球面と同相である」というもの。これはあくまで数学的な表現なのだけれども、これが実は宇宙の形がどうなっているのかを予想した命題であるという。そして、
たった一本のロープを使うだけで、「宇宙の形が丸いか、丸くないか」を確認できるはずだとポアンカレは考えた。
とさ。これの凄さは、地球が丸いのを地球の外から見て確認のではなく、地球に居ながらにして確認すること以上の難しさがあるということ。うん、そう言われると、確かにそう。

そこで、ポアンカレが考えたトポロジーが登場。数学的には新しい分野。さらに、「ポアンカレ予想」の証明に取り組んだ数学者たち。玉砕した数学者は数々。彼らを本書では、「白鯨に食われた」と表現しているよ。

そして、「ポアンカレ予想」の解明に一歩近づいたのが、サーストン博士。「幾何化予想」という予想を提唱したんだけれども、実はこの「幾何化予想」はこれが証明できれば、同時に「ポアンカレ予想」も証明したことになるという優れもの。一つのアプローチが開けたわけだ。だから、当然サーストン博士はこの「幾何化予想」の証明に取り組みわけだが、何故かその証明を諦めてしまう。その理由の予想が本書に書かれているけれども、これも数学者らしくて、興味深い。

そして、ついにペルリマン博士が登場する。ペルリマン博士はこの「幾何化予想」と「ポアンカレ予想」を証明するのだ。しかも、トポロジーの考え方ではなく、旧来の微分幾何学と物理学を使って。その発表方法も不思議。ただ、インターネットに公開されただけ。
これに気がついた数学者たちが、ペルリマン博士を招聘し、講義をお願いする。そこで、「ポアンカレ予想」が証明されたことがハッキリするんだけど、その講義でその証明を理解した人は数少なかったとも…。

途中に挿入されている幾つかのコラムも分かりやすくて楽しめる。NHKドキュメンタリー風の進行で、スイスイ読めるのもよい。またまた、数学読み物のファンになりました〜。
NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影
NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影
日本放送出版協会 2008-06
売り上げランキング : 8062

おすすめ平均 star
star興味ふかい。
star天才の悲しさも垣間見える
starポワンカレ予想を解いたベレルマン

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by りすじぃ at 06:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 40自然科学

2010年01月19日

もったいない主義/小山薫堂

『もったいない主義』を読んだよ。小山薫堂のマルチぶりに脱帽。

小山薫堂は初読書。
業界誌に出ていたこともあり、気になってはいたんだけど、図書館に入っておらず、保留状態が続く。で、今回漸く入荷で即予約。入荷から予約が続いているみたい。これも、「おくりびと」の影響か?

さて、本書。
まずは、企画について。筆者が教員として教えている東北芸術工科大学での取り組みをいくつも紹介しているよ。
例えば、AO入試について。
AO入試のいいところは、「人間としての魅力」という変わった尺度を選抜の基準にすることで、試験をする側が「彼がほしい」というように、ある意味で恣意的に学生を選べるところです。
と言い、「4年間この人と一緒に授業をやりたいな」と思えるかによって、その合否を決めるという。うん、アドミッション・ポリシーがしっかりしているよね。AO入試の意味を分かっていて、それを最大限に活用しているわけだし。そう、活用しなければ、「もったいない」よね。

アイデアの作り方では、「慶應に入るより難しい学生会館」が面白いよ。慶應義塾大学にほど近い港区三田に250坪の土地があり、ここで何か面白いことができないかと考える。
そこで出てきたのが、この学生会館を建てるというアイデア。
入居費を安くするために、まずは企業とのタイアップ。企業はいつでも優秀な学生と接触したいと思っているから、カッコよくてセンスのいい学生を集めるためには、入寮試験を行う。入寮したら、男子だったら自動車メーカ提供のカッコイイ車に乗れるとか、女子だったら化粧品会社提供の新製品を使えるとかにする。それをブログに書いてもらうとかするわけ。
いってみれば、学生をメディア化するということです。
う〜む、これはドラッカーの「非営利体組織の運営」でいうボランティアの戦力化に近い考え方かも…。

この学生をメディア化するという捉え方は更に発展して、
港区三田の学生会館もそうだし、ブティックエアラインもそうなのですが、それらと単なる寮や乗り物としてでなく、メディアとしてとらえていることも、僕のアイデアの特徴かもしれません。
と言い、あっと驚くことをやれば人が集まるわけで、単にPRするだけの伝えるという手法では「もったいない」とも。

幸せの閾値を下げるという発想もよいよ。
石ころを見ただけで、「あ〜、俺は石ころじゃなくてよかった…。」と思えば、幸せになれる。幸せの閾値が高ければ、そこまで達成しないと幸せを感じないわけだし。
そして、チャンスの種はどこにでも転がっているのだとも。
あなたにはそれが見えている。見えているのに拾わないのは、本当に「もったいない」。
と。
あっ、これは、社会人基礎力のひとつ。一歩前に踏み出す力、そのものだなぁ〜。
もったいない主義―不景気だからアイデアが湧いてくる! (幻冬舎新書)
もったいない主義―不景気だからアイデアが湧いてくる! (幻冬舎新書)
幻冬舎 2009-03
売り上げランキング : 6900

おすすめ平均 star
star視点を変えるだけで人は幸せになれる
star企画構想のたねのねた
starいや、まいったまいった!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by りすじぃ at 00:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 10哲学

2010年01月16日

Twitter社会論/津田大介

『Twitter社会論』を読んだよ。Web2.0がWeb2.5くらいに進化したかも。

Twitter本、2冊目。『仕事で使える!「Twitter」超入門』でも、仕事に活かす方法が書かれていたけれども、本書はさらに社会への影響や社会的にどう捉えるかまで述べているよ。タイトルがまさにその通りだけれど。

新しいICTツールが出現すると、まずはどんな使い方ができるのか一定の時間が必要で、さらにユーザが増えると社会へのインパクトが考えられるようになるよね。09年8月時点で5470万人のユーザだというから、これはもう社会現象だと言ってもよいよね。

本書に戻って、第1章。まずは、「ツイッターとは何か」。ここでは、リアルタイム検索の価値がポイント。検索結果の表示順が時系列であり、グーグルのようにページランクの概念はまったく無し。
そして、この価値が実感できるのは、何か社会を揺るがす事件や災害が起きたとき。例えば地震。地震について誰かがつぶやけば、次々に他の誰かがつぶやき始め、時が経過するにつれてその話題は収束していく。これはテレビなどの速報より早いわけ。
大量のユーザーがつぶやきあったリアルタイムは情報は、「検索」という串刺し的に閲覧できる環境があることで更なる価値を生み出す。
と筆者。これにより、情報の伝播力も強力なわけ。

第2章は「筆者のツイッター活用術」。
シンポジウムやセミナーなどの様子をツイッターで実況中継することを始めた筆者。これを「tsudaる」という。
ただ、有料のセミナーやその他の講演でもそうだけど、著作権の問題があるよね。合法的にツイッター中継をするための方策が面白い。「報道」として認められれば、okなんだとか…。著作権って、そういうものだったんだ…。

第3章は「社会に広がるツイッター・インパクト」。
ツイッターはメディアを変えるという。メディアによる情報の囲い込みは終わり、情報の質をどう担保するかを考える時代であると。そう、それはウェブ、ブログ、ツイッターとますますその考えは加速してきているよね。
DELLの使い方も面白い。要はリアルタイム性を利用して、どんどん情報が流れていき、「ユーザに考える時間を与えない」という。
そう、考える時間が多ければ多いほど、冷静になり購入率は下がっていくよね。人間の心理…。

最後は、勝間和代氏との対談。やけに勝間氏が強気の発言。それでも、ITスキル貧困の広瀬香美がツイッターを使い始めた話は面白い。
先ほどの津田さんの「広瀬さんに注目している」という言葉はまったく同感で、もっと異業種の人が入ってこないと、キャズムを越えるには越えるでしょうけれど、社会的プラットフォームにはなれないんですよ。
と勝間氏の発言。そう、メールもウェブもブログも、技術者だけの世界ではなくなることで、もっと面白くなったんだよね。ツイッターにも言えるのは必然なんだよね。
Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)
Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)
洋泉社 2009-11-06
売り上げランキング : 177

おすすめ平均 star
starTwitterの生い立ちから09年末までの動向がわかる
star一気に読みきれ!
startwitterの入門〜中級者向き

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by りすじぃ at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 00総記

2010年01月13日

「見えざる手」が経済を動かす/池上彰

『「見えざる手」が経済を動かす』を読んだよ。経済学を再学習。

再学習って書いたけど、最初っから学習した記憶がない…。大学で経済学を取った記憶がないし、「インフレ」という言葉を習ったのは中学の時。それ以来、経済学とは縁が遠い生活をしていたアッシ。
それでも、社会情勢がこういう時代だから、経済のことも知っておかないとマズイよなぁ〜ということで、本書。筆者の池上彰氏も以前から気になっていたし。

まずは「見えざる手」と表現したアダム・スミス。市場原理に基づいて商品の価格が決まることは感覚的には分かるけど、「需要と供給」が「見えざる手」を動かしているんだよね。あら、やっぱり感覚的な理解かなぁ〜。

理解が進んだのは「新自由主義」のこと。元イギリス首相のサッチャーが何故「鉄の女」と言われたのかとか、同時代のレーガンアメリカ大統領や、日本の中曽根首相の政策がどういう意味を持ったいたのかを解説しているよ。
当時は国鉄や電電公社の民営化を普通に受け入れていたけれども、やっぱりその背景があったんだよね。

最後は会社の話。特に株式についての解説が面白いよ。
ただ、人間の浅ましさというか、何でも金儲けの手段にしていく行為がなんとなく恐ろしい気もしてきたわけ。株式を売買の対象にするとか、昨今では排出権取引。いいんだろうか、経済。これも「見えざる手」によるものなのかなぁ〜。

最後に本書の肝を引用。
市場経済を万能視しないこと。市場経済を敵視しないこと。すべてを自己責任にしてしまわない。すべてを「お上頼み」にしない。
要はバランスなのですね。そのバランスをどうとるか。これが現代の難問なのです。
人々の努力を最大限に引き出すためには、どうすればいいのか。これが、「資源の最適配分」を考える経済学の課題です。
そう、「資源の最適配分」といえば、OR。経済学で数学が必須なのが分かりました〜。
「見えざる手」が経済を動かす (ちくまプリマー新書)
「見えざる手」が経済を動かす (ちくまプリマー新書)
筑摩書房 2008-04
売り上げランキング : 41651

おすすめ平均 star
star経済学の入門書に最適
starわかりやすい教科書
star中高生には良い教科書

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by りすじぃ at 06:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 30社会科学

2010年01月11日

沈黙の春/レイチェル・カーソン

『沈黙の春』を読んだよ。農薬ってアッシの生まれる前から問題になっていたんだ…。

記憶は不確かなんだけど、確か『リンゴが教えてくれたこと』の中にこの本のことが書いてあってメモっていたのだけれども、400ページ近いので、長い休みを狙って年末から読み始めてようやく読了。訳もそれほど難しくはなかったんだけど、アッシ的には時間が掛かったことは確か。

原著は1962年の出版だから、アッシが生まれた頃。話の中身は1950年代の後半、アメリカ合衆国を中心に農業や林業に被害をもたらす害虫を防除するために散布した化学薬品がいかに無意味で且つ逆効果であるかを詳細に述べたもの。

害虫防除に散布された薬品の代表が、DDT。これは有名。アッシらの両親は戦後、シラミ退治として、髪の毛が真っ白になるほど掛けられたと聞いている。
人間に害はないと言われていたらしいけど、直接の被害は無かったとしても体内への蓄積はあったのではないか…。また、農薬が農作物に残留物質として蓄積されれば、それを食物として体内に吸収する人間はどうなるのか。そんなことも考えさせられる話も書かれている。

そして、土壌への影響。河川、湖沼、海への影響。地球そのものが生き物であることを考えると、何が安全かなんて、有り得ないことは分かりきっているのに…。
でも、それは今の時代に生きるアッシだから分かることなのかも。当時の人たちには、害虫を一網打尽にする農薬は妙薬であったのだよね。

土や水への影響があるということは、害虫以外の虫や鳥、動物への影響も避けられない。勿論、植物も。
たとえ、害虫が防除できたとしても、それ以外の益虫までも死滅させてしまえば、何の効果もないことになるわけ。さらに悪いことに、農薬に抵抗性のある一部の種が生き残れば、その種が繁栄することになり、さらに強力な農薬が必要になってくる。

そして、癌。放射能以外にも発癌物質として、化学薬品も考えられる。筆者は、癌の治療よりも、発癌性因子を除去することが重要であると説く。それはつまりは、化学薬品の使用を抑えることであると。

では、この薬品漬けの世界をどうすればよいのか。筆者は自然の均衡を利用する方法を推奨する。天敵(捕食者)を利用する方法など。
但し、これも当時は実験段階だったのだと思う。

話が古いことが気になるし、天敵を利用する方法でも、それ自体自然の均衡を乱す行為なのではないかと疑問が残る。(これについては、本書の「解説」が参考になるよ)
それでも、あの当時、これらのことに気が付いて、これだけの著作を残した筆者には頭が下がる思いがするよ。
環境問題。誰でもが分かっているようで、分かっていないような。まずは原点として、この本を読んでみることもよいのではないかと思う。
今年もアッシ的には環境問題から目が離せないかもしれません〜。
沈黙の春 (新潮文庫)
沈黙の春 (新潮文庫)青樹 簗一

新潮社 1974-02
売り上げランキング : 8539

おすすめ平均 star
star環境を考える際、最初に読むべき教科書。ジャーナリズムとしても非常に高い質を持つ。
star現在では科学的根拠に疑問がもたれていますが
star欠かせない

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

応援クリックはこちら→にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

posted by りすじぃ at 10:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 50技術. 工学