2007年11月25日

流れる星は生きている

『流れる星は生きている』を読んだよ。壮絶なる満州引き上げの記録。

作家・新田次郎の夫人、そして数学者・藤原センセーのご母堂である藤原てい氏の有名なこの作品をようやく読んだよ。新田次郎の作品も藤原センセーの作品も好きだったから、その背景として読んでみようと以前から思っていたから。

ところが読んでみると、そんな背景なんてどうでもいい。この作品自体が凄いことになっている。

物語は新京からの引き上げから始まる。夫との別れ、そして3人の子供を引き連れての移動。もうここだけでも、十分な苦労が伝わってくる。

列車に乗って宣川という北朝鮮北部の町に移動。ここで約1年を過ごす。夫との再会もあったが、すぐにシベリアに行ってしまう。その間に、何人もの人が死亡。その死に様は様々。発狂する人も。子供たちの病気、金銭を得るための商売、集団生活での葛藤など。

そして、38度線へ向けての移動。平壌の先までは汽車に乗ったが、そこから先は徒歩。お金を使って牛車に乗ったりしたが、山道は歩くしかない。子供たちはそうそう歩けるものではないので、何度も弱音を吐く。叱咤激励しながら、山を越え、川を渡る。そして、ようやく38度線を越える。

38度線を越えても、人間とは何かを考えさせられるような事件が多発。そして、故郷へ。
最後に引用。3人の子供たちが兄弟たちに引き渡された後のシーン。
私は両親に両方から抱きかかえられるように支えられて霧の町を歩いて行った。
「これでいいんだ、もう死んでもいいんだ」
生きる力の源泉はここにあったのか。
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posted by りすじぃ at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 90文学

2007年11月24日

小学生に授業

『小学生に授業』を読んだよ。「課外授業ようこそ先輩」的。

国際日本文化研究センターの教授陣が、近くの小学校に繰り出し、5、6年生に授業を展開したときの模様を本にしたもの。だから、冒頭の「課外授業ようこそ先輩」を思い出したわけ。

登壇の先生は総勢9名。国語から社会、理科、道徳まで。

その中でもアッシが面白いと思ったのは、宮沢賢治の話。あまりにも有名すぎて、アッシは宮沢賢治の作品を読んだことがなかったから。この歳になっていまさらって感覚もあったけど。
『注文が多い料理店』ってこんな話だったんだ〜と感心。

交渉の話も面白い。交渉にも理論があるし。そうゲームの理論だよね。そっか〜、これは一見社会の授業のような気がするけど、算数の授業でもあったわけか。

その他にも人種の研究とか三国志とか。どれも面白い面白い。

体系立てたものを順序良く学ぶことも必要なんだろうけれども、その土台の上で、いかに考えていくかということを学ぶのも大切なんだろうね。そうなれば、勉強が面白くなる。小学生の時に、そう思うことは大事なんだよね。
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posted by りすじぃ at 09:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 30社会科学

2007年11月11日

ダーウィンの「種の起源」

『ダーウィンの「種の起源」』を読んだよ。やっぱり訳本は読み難い。

長谷川眞理子先生のダーウィン関連本はいくつか読んできたので、その先生の翻訳なら分かり易いかもと翻訳本に手をつけてみたけど、やっぱりダメ。機械的な翻訳になってしまうのは何故だろう。訳者の「はじめに」と茂木先生の巻末の文章がなんと読みやすいことか。

と、文句を言っても仕方が無い。本書はダーウィンの生涯、『種の起源』の発表の背景やその周辺のあれこれを紹介しているよ。

『種の起源』の背景は、ビーグル号による航海など、多くを他書によって語られているし、アッシもそれで読んだことがあるから、ここでは特に言及しない。アッシ的には、『種の起源』発表後の社会的な影響に興味を覚えたよ。

ひとつは、国家間や人種間に存続をめぐる闘争があるという示唆。
『種の起源』が出版されてから、闘争こそを原動力とする社会経済政策を正当化するものとして、悪名高い「社会ダーウィニズム」の考えが成功を収めるようになった。<中略>「適者生存」というスペンサーのいかがわしい造語は、経済的な拡大、急速に環境に適応して植民地化を行っていく状況を描写するに適していた。
と、国家間だけでなく、経済成長に必要なものとして、取り入れられていったらしいよ。

そして、それに伴う教会の権威の衰退。これも社会的な影響が大きいよね。さらに、優性という考えたから、人種、民族の違いによる差別や虐待も発生する。ナチの主張はこれを根拠とすると。

ダーウィンはこれらの影響を分かっていたんだろうね。だからこそ、『種の起源』の出版に慎重だったんだろうね。そして、出版後も自ら論争の表に出ることは無かっただろうね。
ダーウィンの「種の起源」 (名著誕生 2)
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posted by りすじぃ at 14:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 40自然科学

2007年11月03日

高校生のための哲学入門

『高校生のための哲学入門』を読んだよ。この本を理解できる高校生は少なそう。

そう、筆者も仮想の高校生を考えたが、結局万人に向けての本になったとか。でも、若者に読んでもらいたいという思いはアッシも同じ。

まずは第1章「自分と向き合う」は衝撃的。そう、小学生までは無我夢中。筆者の言い方では「世界と一体」で生きている。それが中学、高校と進むとそうではなくなってくる。つまり、世界とは違う自分とは何かという疑問。戸惑いはあるけど、「自分と向き合う」ことが大切だと筆者。アッシの場合、その疑問は40代になった今でも解決できてはいないけど。

そして、人と交わるとか社会の目とは何かとか、老いや死、芸術と宗教の話が続く。最終章は「知と思考の力」。この章は、アッシ的には阿部謹也先生の考える「教養」に繋がる話だと思う。そして、大学の教育とは何かのヒントにもなるような気がする。
例えば、筆者は大学紛争時の教授たちの対応に疑問を持つ。
逆境や危機においてこそ知と思考は力を発揮するはずなのに、非日常的な闘争の渦中で自他の学問や研究のありかたが問われたとき、かれらの知と思考は機能停止したかのようであった。
そして、
塾生の親や、地域の自治会で顔を合わせた年配者や、PTAでの会合で出会った母親が、しばらく話を聞いているうちに、まわりに気がねしないで自分の考えをきちんと提示する魅力的な人物に見えてくるとき、あっ、この人の中には普遍的な知と思考が生きているな、と思えるのだ。
と。これはまさに阿部先生の言う「教養」ではないだろうか。
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posted by りすじぃ at 10:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 10哲学