作家・新田次郎の夫人、そして数学者・藤原センセーのご母堂である藤原てい氏の有名なこの作品をようやく読んだよ。新田次郎の作品も藤原センセーの作品も好きだったから、その背景として読んでみようと以前から思っていたから。
ところが読んでみると、そんな背景なんてどうでもいい。この作品自体が凄いことになっている。
物語は新京からの引き上げから始まる。夫との別れ、そして3人の子供を引き連れての移動。もうここだけでも、十分な苦労が伝わってくる。
列車に乗って宣川という北朝鮮北部の町に移動。ここで約1年を過ごす。夫との再会もあったが、すぐにシベリアに行ってしまう。その間に、何人もの人が死亡。その死に様は様々。発狂する人も。子供たちの病気、金銭を得るための商売、集団生活での葛藤など。
そして、38度線へ向けての移動。平壌の先までは汽車に乗ったが、そこから先は徒歩。お金を使って牛車に乗ったりしたが、山道は歩くしかない。子供たちはそうそう歩けるものではないので、何度も弱音を吐く。叱咤激励しながら、山を越え、川を渡る。そして、ようやく38度線を越える。
38度線を越えても、人間とは何かを考えさせられるような事件が多発。そして、故郷へ。
最後に引用。3人の子供たちが兄弟たちに引き渡された後のシーン。
私は両親に両方から抱きかかえられるように支えられて霧の町を歩いて行った。生きる力の源泉はここにあったのか。
「これでいいんだ、もう死んでもいいんだ」
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