2007年12月27日

素数ゼミの謎

『素数ゼミの謎』を読んだよ。数学と生物学の見事なコラボレーション。

アメリカに13年、あるいは17年に一度だけ大量発生するセミがいるという。大量発生の数も半端じゃない。50億匹だとか。想像を絶する数。しかも狭い範囲での発生だから、平均すると1平方メートルに40匹。うるささも想像外だよね。

解明すべき謎は、「なぜこんなに長年かけて成虫になるのか?」、「なぜこんなにいっぺんに同じ場所で大発生するのか?」、「なぜ13年と17年なのか?」の3つ。

はじめの2つの謎は、まさに地球の歴史と直結しているよ。地球が誕生してから46億年。その間に何度となく訪れた氷河期。セミという生物の歴史も古いらしく、現在まで生き残っているものは、その氷河期を何とか生き延びたセミたち。その結果が「長年かけて成虫になる」セミを誕生させたわけ。そして「同じ場所で大量発生する」原因も氷河期にかろうじて氷河に覆われなかった場所があったことに起因する。

さて、3つ目の謎はどうか?
13と17が素数だということがポイント。素数の最小公倍数は、大きな数字になるという性質。確かに、素数が絡む最小公倍数はスゴク大きな数字になる。これは周期が異なるセミが同一年に発生するタイミングを意味することになる。
そして、これに進化論が絡む。周期が異なるセミが同じ年に発生すると交雑が起きて…。
アッシの謎解きはここまで。ここで答えを言ってしまうのは勿体ないので、本書を読むことをお勧め。

壮大でちょっとロマンチックな素数ゼミの話は、アッシにとって、ちょっと感動のいい話でした〜。
素数ゼミの謎
素数ゼミの謎吉村 仁

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star数学って、…快感!
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starなぜ素数なのか?著者の教育的配慮はいいが、書としての情報量は少ない

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posted by りすじぃ at 19:58| Comment(0) | TrackBack(1) | 40自然科学

2007年12月23日

日本人の矜持

『日本人の矜持』を読んだよ。藤原先生は久しぶり〜。

副題に「九人との対話」とあるように、藤原先生の対談をまとめたもの。

相変わらず、国語力の向上については力説。対談相手もすべての人が同意。アッシもそう思うし。新たなキーワードも出てくる。我慢力。脳の持久力をつけるための読書なども我慢力向上のひとつ。
何度も書いているけれども、考えることを放棄してはダメ。考えた量、時間が、仕事の成果に反映するんだろうと思うよ。

五木寛之との対談では、大陸からの引き上げの話が興味深いよ。戦後に引き上げの話を書いた人がほとんどいない理由とか。当事者の五木寛之も書いていないし、新田次郎も書いていない。この対談でその理由が分かる気がするよ。

そして、あちこちの対談で出てくるのが、イギリス、アメリカ、日本の違いについて。最近、格差社会なんていう言葉が流行っているけど、イギリスやアメリカは完全な格差社会。イギリスの労働者階級は政治にはまったく興味がない。オックスフォードやケンブリッジなんて自分たちが行くところではないと思っている。ところが日本は違うよね。一応、東大には憧れはあるわけで、お勉強ができれば行きたいと思っている。
イギリスとアメリカもかなり違うと。アメリカは戦略・戦術の国だと。
で、何が言いたいかというと、日本人に祖国愛がないと国が滅びると。一部の人間だけに愛国心があればよい欧米とは違うと。

さて、タイトルにある「矜持」という言葉。アッシは初めて聞く言葉。プライドとか誇りとかいう意味だとか。アッシ的には日本人としての誇りを持って生きているつもりだけど。
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posted by りすじぃ at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 90文学

2007年12月16日

「日本人」という病

『「日本人」という病』を読んだよ。河合隼雄の日本人論。

河合隼雄の幾つかの講演記録を一冊にまとめたものだよ。

「震災後の復興体験」では、震災直後に暴動や略奪が起きなかったのは何故か?などをテーマに日本人の考え方がよく分かるよ。日本人はそれが当たり前だと思っているから、そういう疑問すら起きないけど、外国から見るとそれが最も不思議らしいよ。

「個性」の話。欧米人は「分ける」という考え方。これは人間の意識を明確化する。それが自然科学の合理性の結びつき、20世紀の進歩があったという。
それに対し、日本人は「融合」という考え方。だから、パッと切り捨てることができない。相談するから合理的な結論が出難い。良い悪いの問題ではないけれども。

そして、「イエ」の問題。漢字で書くと「家」だけど、読み替えると「世間」だ。
敗戦を契機として日本人は「イエ」を失い、だんだん個人主義的になってきたが、それはキリスト教抜きに輸入しているので、個人を支える「神」がいないという状況になった。そこで、日本人は意識的・無意識的にその支えを求め、結局のところ本来の家族とは別に「擬似イエ」を作り出すことになった。その典型的なものが「会社」である。
これは、まさに「世間」だよね。ところが、この「擬似イエ」も絶対的なものではなくなってきた。だから、「擬似イエ」の行動規範が通用しなくなってくる。それが利己的な行動をする日本人を生み出すことになったという。

あ〜、阿部先生と河合隼雄氏の対談があったらなぁ〜。
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2007年12月06日

分数ができない大学生

『分数ができない大学生』を読んだよ。その根は深く、大きい。

分数ができないってタイトルにあるけど、分数だけではなく、数学でできない大学生が大量発生し、そのまま社会に出ていくことの現状と警鐘を鳴らした本。
執筆者はいろいろだけど、俗にいう理学部系数学科の先生はひとりもおらず。なんとなく、分かるような気がするよ。純粋数学とはちょっと離れた話題だからかも。

ポイントは二つ。「考えることの拒否」と「受験の情報戦化」ではないか。

まずは「考えることの拒否」。最近の若者は、感覚的な表現はできるけれども、論理的な表現が苦手だと指摘されている。そして、試行錯誤をせずにすぐに諦める傾向が強い。条件反射的丸暗記教育の結果だと。

もうひとつの「受験の情報戦化」。要はいかに楽に受験し、合格するか。その為に情報を集め、いかに有利に受験を勝ち抜くかだ。それは、数学軽視に繋がっていく訳。数学の苦手な高校生が、受験科目に数学がない大学を受験する→受験生が集まる→同様の大学が増える。
そして、「分数ができない大学生」が生まれるのだ。

教育は中長期的な施策が必要なもの。今から手を打っても、効果が現れるのは中期的なスパン。今すぐにでも手を打たないと日本の将来は危ういぞ〜。
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star本当は学力低下を指摘した本ではない
star数学教育の破綻が進んでいるのを見るのは悲しい
star20年後に慙愧の念で回顧されることのないように・・

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posted by りすじぃ at 12:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 30社会科学