2008年01月31日

生物と無生物のあいだ

『生物と無生物のあいだ』を読んだよ。科学の本なのに、文学的。

タイトルからして何だか詩的というか文学的。科学的に言うと、要は「生命とは何か?」を分子生物学的な観点から説明した本だよ。

DNAの複製の仕組みがよ〜く分かったような気がする。対という構造そのものがまさに複製の仕組みを意味しているんだね。まさにジグソーパズルをはめ込むように、もう一方の相手方の型が決まるという。シンプルな考え方を繰り返すことで複雑系を組上げていくという仕組みの凄さに感動するよ。

そして、「原子はなぜそんなに小さいのか?」という命題。言い換えると、
生命現象もすべては物理の法則に帰順するのであれば、生命を構成する原子もまた絶え間のないランダムな熱運動から免れることはできない。つまり、細胞の内部は常に揺れ動いていることになる。それにもかかわらず、生命は秩序を構築している。
ということになる。
さて、この回答は本書を読んでいただくとして、ここでは数学的な概念がその回答を支えているとだけ、言っておこうと思う。ランダムから秩序とは…想像したこともなかったけど。

さて、生命とは何か…の答えだけど、そのヒントとして、ルドルフ・シェーンハイマーの言葉が上げられているよ。
それは、
秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。
と。
ここに、モノにはない時間という概念が存在するわけ。

途中に野口英世やら、科学者の話題も散りばめ、且つエピローグのエッセイ風な文体。まさに、文学的な科学本で、楽しく読めました〜。
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)
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posted by りすじぃ at 23:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 40自然科学

2008年01月25日

包帯クラブ

『包帯クラブ』を読んだよ。若々しい気分に、そして自由な気分になれるかも。

ある地方都市を舞台に、女子高校生を中心に繰り広げられる個人的な活動の報告書…という形で物語が始まる。
登場人物はすべてカタカナのあだ名。勿論、本名はあるけど。そして、その命名がいかにも高校生っぽい。っていうか、中学生並みかも。

「傷ついた心を包帯で巻くことによって、手当てをする。」
難しい言葉でいうと、そういうコンセプトで活動するのが主人公を中心としたグループが“包帯クラブ”。
その前身は主人公たちの中学時代の“方言クラブ”。全国の方言を駆使して会話する。だから、あちこちに方言が使われているよ。そして、物語の後半にも、話を解読されないようにと、方言が使われる場面も。

さて、包帯を巻く要因。いかにも高校生らしい心の傷つき方。その縁のモノに包帯を巻くことに彼らは集中する。

途中で挿入される関連の人々のコメントがよい。物語が終った後の逸話を語るから、それらをイメージしながら本文を読む。これからどうなるんだろ…という好奇心を満たしてくれる。

今の高校生の考えていることと自分自身の高校時代、自ずと比べながら読んだけど、今の高校生は大人になっているなぁ〜と感じた一冊でした〜。
包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)
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posted by りすじぃ at 06:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 90文学

2008年01月23日

ウェブ時代をゆく

『ウェブ時代をゆく』を読んだよ。このウェブの時代に、どう生きどう仕事をするかなぁ〜。

筆者・梅田氏の前著『ウェブ進化論』では、グーグルを中心として動き始めたウェブ環境の変化を紹介した本だったけれども、本書はその環境を基盤に我々がどのように仕事をしていくか、職業を選択していくか、そして、究極的には「飯を食っていく」か…といったことをテーマとしているよ。

まずは「高速道路」と「けものみち」の比喩。ウェブ時代の現代は、ある分野で極めたいと思えば、効率よく過去の叡智を吸収できる。それはまさに高速道路を疾走するが如く。そう、ちょっとした調べものをしたいと思えば、すぐにネットで検索。体系的に整理されているものではないけれども、多少の努力である程度までの知識は得ることができるわけ。
ただ、疾走した先には渋滞が待っていて、さらにその先に進むには、二通りの方法があるという。ひとつが、そのままその渋滞に進んで行き、高く険しい道を切り開いていく方法。そしてもうひとつがそこで高速道路を降りてしまい、かつて人類が歩いたことのない「けものみち」を自ら切り開いていく方法だという。
どの道を選ぶかは、その人の人生観や職業観だ。まさにウェブ時代の生き方がこれだ。

そして、けものみちを行く人たち。オープンソースの開発者たちがその人たちだ。そして、彼らの特徴は「勤勉の継続」也。
「勤勉の継続」などと言うとずいぶん古めかしいと思われるかもしれないが、本書でさまざまな事例を挙げながら考えてきたように、ウェブ時代の初期に現れた新しいタイプのリーダーたちに共通するのは、「自分が好きなこと」「自分に向いたこと」「自分がやりたいこと」を対象に「勤勉の継続」が自然にできる人たちであった。強いられて行う「勤勉の継続」とは決定的に違って、志向性と自発性と能動性がすべての始まりだから、彼ら彼女らにとって、勤勉は苦しみでなく楽しみなのである。

その自発性。職場での情報は管理されたほうが、その範囲内で仕事をすればよいので、社員は楽であると。逆にすべての情報が共有されるということは、自分の範囲の仕事をするのは当たり前、それ以上の付加価値を求められるわけ。「道具は欲しいけど、仕事はやらない」なんてことは論外だってことだよね。

結局、ウェブとは何かと言った時に、「能力の増幅器」だという。それは、働き者と怠け者の差を拡大させる。これは自明だよね。
それにしても、よくよく考えてみると、恐ろしい世の中になったものだ〜。
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)梅田 望夫

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2008年01月18日

「脳」整理法

『「脳」整理法』を読んだよ。タイトルだけを見るとハウツウ本に思えるけど。

人間の脳がインプットされる情報をどう整理していくか…といったところの観点から、「世界知」と「生活知」の緊張関係を把握するのが本書の主題。と言っても、じゃ、「世界知」、「生活知」って何?ってところから入る。
「世界知」とは世界共通で認識されている科学的な知、「生活知」とは個がいかに生きるべきかということに必要な知と説明されているよ。ここの緊張関係が成り立つとは…。
詳しいことは本書に譲るけれども、要は、「世界知」的には60%の確率で発生することが、「生活知」的には、0が100でしか有り得ないというようなイメージだよ。

そして、時間という概念も同じ。「今」という瞬間を生きながら、しかも一瞬先は何が起こるか分からない世界に生きる我々。ところが、「世界知」的には、「神の時間」を想定して、相対性理論を構築できてしまう。何とも不思議な感覚。これは奇跡的なことだと茂木先生は言う。

もうひとつ。確率的な話。
ある要素がコントロール不可能ならば、それはもはや確率の中で扱うしかない、というのが近代科学の基本的立場です。
と茂木先生。「世界知」では確率で扱うけれども、「生活知」ではどうしてもコントロールしたくなる。ここでも緊張関係が存在しているよね。

全編に渡って出てくるキーワードが、茂木先生の研究テーマのひとつである「遇有性」。特にセレンディピティの考え方は秀逸。簡単に言うと、偶然の幸運に出会う能力らしいんだけど、セレンディピティの要素「行動し、気づき、受容する」が大切なんだと筆者。

最後は、成功体験が脳を強化する話。これはTVなどでよく出てくるよね。

やっぱり、人生のハウツウ本だったのか、それとも脳科学の本だったのか。読み終わった今、微妙な気分。そういえば、茂木先生、今年から読売新聞の人生相談の回答者になったそうな。やっぱり、この本に書いてあるような立場から、回答するんだろうなぁ〜。
「脳」整理法 (ちくま新書)
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posted by りすじぃ at 06:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 40自然科学

2008年01月13日

宇宙の始まりの小さな卵

『宇宙の始まりの小さな卵』を読んだよ。壮大な科学のロマン。

副題に「ビックバンからDNAへの旅」とあるように、まずはビックバンで何が起こったのかを解明する。そして、生命の誕生。生命とは何かを語るには、DNAを無視することはできない。…と簡単に言ってしまうとそういう本なんだけど、読んでみると壮大な科学ロマン。物理、化学、生物、地学のすべての知識を総動員させて書かれたものという感じがするよ。

さて、ビックバンの話なのに、冒頭は化学の話から。水素とか酸素とか原子とか電子とか。高校の教科書では、原子の説明で、陽子の周りを電子が回っている図が示されているけれども、どうも実際は違うらしいよ。
ボーアのモデルというのは、話をわかりやすくするための模式図で、実際に電子が回転しているわけではないということになったのです。
原子核の周囲にある電子は、確率の雲としてある領域に分布しています。
こういう雲のような実体は、粒子と区別して「量子」と呼ばれます。
なるほど、量子物理学とはここから来ているのかぁ〜。

続いて、電気。ここにはなるほどと思える見解。「人間は電気で動いている」と。人間が動くことが出来るのは、体内の化学反応の作用。化学反応とは電子の動き。電子は電荷の力で動くわけだよね。だから、人間は電気で動いているのだと。考えたこともなかった見解なので、唸るしかないよ。

そして、宇宙の始まりの解明へ。現代科学の認識では、バックバンから0.01秒以降の動きについては解明されているという。ただ、その0.01秒より前の世界については、
時間も大きさもわからない不確定な領域が、ゼロ時間の周囲に存在するのです。従って特異点というものは、もしあったとしても、わたしたちには認識できないのですが、認識できないものは存在しないという量子論的な解釈に従えば、こういいきってもいいはずです。
特異点というものは、存在しない。ただプランクの長さ、プランクの時間の、不確定な領域が存在するだけである…。
という見解。凄いと思う。

さて、話はエントロピーとかDNAとかを織り交ぜて、生命の話。そして、筆者はこれらの科学の凄さより、それを解明して人類が知っているということが凄いことだという。知の力の凄さだよね。

さて、アッシ的な結論。科学というものは、宇宙の始まりを解明するために存在するのではないか。なんだか哲学的な見解になってしまったけど。
宇宙の始まりの小さな卵―ビッグバンからDNAへの旅
宇宙の始まりの小さな卵―ビッグバンからDNAへの旅三田 誠広

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posted by りすじぃ at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 40自然科学