2008年09月28日

ダーウィン―進化の海を旅する

『ダーウィン―進化の海を旅する』を読んだよ。何故かダーウィンに惹かれています。

ダーウィンものは何冊か読んでいるけど、こちらも彼の生い立ちから業績までを簡単にまとめたもの。本格的に語ろうとすれば、一冊では終わらない分量になるんだろうけどね。

本書は二部構成。
一部はまさに伝記風の内容。
生い立ちについては、父親は彼を医者にしたかったが、それは裏切ることになる話は有名。20代前半でビーグル号に乗り世界を見聞するわけだが、そこで役に立ったのが地質学。古生物学的な証拠は古い地質から発見されるわけで、異なる地域の遺物が同じ相対年代に属することを示すのに有用だから…というわけ。
高校の時に地学部だったアッシが共感する部分がここにもあった…。

ビーグル号の航海で、イギリスに連れ帰ったフエゴ人の話も有名だよね。3年間のイギリス生活で文明社会になじみ、未開の地の人からすっかり脱した3人のフエゴ人。ここに、ダーウィンの人種差別への反発の原点があるんだよね。
世界にはさまざまな振興や風俗習慣があることにも気がついた。未開人の貧しさを身にしみて知ったが、彼らが文明に完璧に適応できることもわかった。また、奴隷制を敷いている国家が、みずからの卑劣さに目をつぶり、優者の劣者に対する当然の権利だと声高に主張していることを激しく非難した。

ビーグル号の航海の後、『種の起源』の着想。フジツボなどの蔓脚類が、軟体動物に分類されていたことに疑問を持つ。そして、変態や、世代交代、一部の生物が成長時期により浮動形から固定形へと変わること、植物の運動などから、まったく違う種類の生物であっても、共通点や類似点が見られることから、すべての生物が共通の祖先をもち、生物の系統図がかけるという考えを示唆していると考えた。まさに種の起源とは何かの発想だよね。

『種の起源』の後。人々にさまざまな考えを与えた『種の起源』。さまざまなイデオロギーが「文明人」「未開人」、「優者」「劣者」などの権威づけをしようとする。しかし、ダーウィンの進化論はそんなことは言っていない。
環境の化学的性質が変わっただけで、それまで少数派だった、いやほとんど無きに等しかった種が、新しい環境における生存・繁栄に適した形質をもっているために優勢になることもあるのだ。

第二部は「資料編」。ちょっと資料というよりも、学術的な解説編と言ったほうがいいかも。難しいし。

ここでは、人間の盲腸のような役に立たない器官(痕跡器官)が進化論の証拠になること、動物発生段階における特徴の出方についても、共通の祖先に近い形態から現れてくること、社会的なダーウィンに対する誤解についてなど、詳しいよ。

さて、アッシの気になるダーウィン。世間への反響を考慮し、なかなか『種の起源』を出版せずにいたところなど、慎重派のアッシには同感するところ有り。それが惹かれる最大の要因かもしれません〜。
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2008年09月27日

日本の鉄道 車窓絶景100選

『日本の鉄道 車窓絶景100選』を読んだよ。鉄オタの超オタク的会話の数々。鉄子も登場。

本書は、新潮社から出ている『日本鉄道旅行地図帳』の中で、「車窓絶景」を100箇所選ぶという企画があり、その100箇所を選ぶための座談会の模様を収録したもの。リソースの有効活用という意味で、副産物的な本だよね。

その座談会。北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国・四国、九州とブロックに分けて、そこに定数8を振り分ける。当然100に達しないので、復活折衝したり個人推薦枠に割り振ったりして、100箇所を決めるという手順。

北海道から話が始まる。

秋田内陸縦貫鉄道の話の中で、故宮脇俊三氏の話題が。この辺りは「美人度が高い」と氏が絶賛していたと。
宮脇さんは、阿仁合線で乗り合わせた女子高生たちを見て、「東京に連れて行って磨いたら、さぞや…」って『時刻表2万キロ』の中に書いています。
でも、ここは一旦保留になり、結局、復活折衝で採択。美人は有利?かと思ったけど、マタギの熊狩りの話が評価されたみたい。

東北での話題をもうひとつ。
北海道の江差から松前に向かってバスに乗っていた時、正面に山が見えたんです。何だろうと思ったら岩木山なんですよ。海の向こうに見えて、すごくきれいでした。
…と新潮社の田中氏。なるほど、そういう山の見方もあったのかぁ〜とこの話題はアッシの琴線に触れる。

東京へ。明治学院大学の原氏が、東武線の押上〜曳舟がいいと妙な意見を言う。理由がいい。東急の二子玉川からトンネルに入ると、東京地下鉄半蔵門線を通って、曳舟の手前で地上に出る。東急から東武の世界への劇的な変換だと。東京の人にしかイメージが湧かないかもしれないけど、引用。
渋谷から東急に乗った場合、用賀から二子玉川にかけてトンネルを出ると、右手にコマダムの殿堂、玉川高島屋が見えてきますが、東武は押上から曳舟にかけて地上に出た瞬間に、いきなり密集した民家の裏みたいなところを目にするわけ。日も当たらないような狭いところに、洗濯物があけっ広げに干してある。
「それ、絶景ですか?」って突っ込まれるけど、文化地理的な感動ということで皆が納得。それでも話題提供だけで、採択は却下。…だよね。

こんな調子で、九州まで続くよ。ところどころで、Rや勾配(パーミル)の話が出たりして、いかにもテツの皆さんたち。サラッと読めるけど、日本地図が頭に浮かばない人にはテンポが速すぎてついていけないかも。

最後に。アッシの沿線の西武もチラッと。
西武の飯能から向こうも今一つなんだよね、山の中に入るけど。
アッシもそう思うから、異議無し!!
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2008年09月26日

となりのクレーマー

『となりのクレーマー』を読んだよ。単なる苦情なら、素直に対応できるんだけど…。

某S百貨店のお客様相談室長だった筆者がその経験をまとめたもの。百貨店という性質上、いろいろな種類の苦情が上がってくるのは事実。店側の明らかな過失ならば、誠意を持って対応するのが当然だと思うけど、本書に登場する苦情の数々は、言いがかり、脅し、客側の勘違いなどが多数。それでも、明らかな証拠が無ければ、客側が有利であって、そこをつけ込む御仁も。

本書の事例を読んで思うに、変に中途半端な知識がある客に限って、クレームを入れる傾向にあるのではないだろうか。ただ、店側も十分な商品知識で納得させるだけの能力が必要になるんだろうけど。

で、筆者が言うクレーム対応の極意は、一にも二にも「お客様の立場で考える」。最初は誰もが、店側の利益を考えてしまうものだと。次第に中立の立場に立てるようになり、最後は顧客側の立場になれるという。そうなると、苦情の八割は電話だけで解決できるようになったという。要は気持ちの持ちようってことか…?そう簡単に済む話ではないとは思うけど。

学校に対する事例も紹介しているよ。ただ、学校の場合は、一般企業のように「クレームを情報資源にしよう」などと考えられるものではないよね。そこが逆に困り者で、対応に苦慮する要因なのかもしれないね。

さて、クレーマーを生み出す要因は何か?筆者は格差意識がその要因になっているという考え方に一理あるという。嫉妬を背景として苦情申し立てっていうことのようだけど。これはちょっと違うような気がする。むしろ、権利意識の拡大がその要因ではないかなぁ〜と思っている。どこまでが顧客の権利で、どこまでが店側の義務なのか曖昧な世の中だからね。

最後に。筆者のまとめは、苦情を言われても必ずリターンしてくれることを考えるということ。うん、これは非常に納得。学校でも応用出来そうだしね。
となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ 244)
となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ 244)関根 眞一

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2008年09月23日

偽善エコロジー

『偽善エコロジー』を読んだよ。今、環境問題って話題になりやすいのはどうしてだろう。

幾つかの環境問題に関する本を読んでいるけれども、本書はどちらかというと生活に即した形で話題提供、っていうか筆者なりの検証をまとめたもの。

分かりやすい話から入ると、スーパーのレジ袋のこと。もともとレジ袋は、石油の原料としては、使われずに燃やされていた成分を原料としているとのこと。そして、レジ袋が無くなると、結局、石油製品でエコバックを作ることになり、同様に石油を原料として有料の専用ゴミ袋が売られることになる。意味があるのかと筆者。
割り箸にしても同じ観点。元々割り箸は端材を使っているわけだから、割り箸を作らなくなると、結局は端材というゴミが出る。さらには日本の森林利用の衰退化に繋がるという。

そして、地球温暖化の話。『ほんとうの環境問題』でも出てくる話だけど、京都議定書をきちんと守ろうとしているのは日本だけだと。さらに、日本だけが頑張って、京都議定書の約束6%を削減したとしても、世界全体からすれば、0.3%削減されるだけに過ぎないという。確かに計算上はそうなる。しかも、0.3%となるとほとんど誤差の範囲になるよね。子の為に、大量の税金を投与して、京都議定書を守るものなのかどうか。日本だけがひとり浮いているのだとしたら。なんだか戦前の正義の為に突っ走る日本のイメージがこれと重ね合わされるんだけど…。

マスメディアに対する批判も。マスメディアは国民に警告を発しなければならないという使命感を持っているのでは?それが、記者の根拠のない心配事を裏付けるための記事になってしまうのでは?と筆者。
確かに、マスメディアの張るキャンペーンはその根底に何があるのか…という疑問を持った方がいいのかもしれないね。

ダイオキシンの問題も。ここでは事例が面白い。それは「焼き鳥」。焼き鳥はプラスチックと同じ高分子。だから、焼けば必ずダイオキシンが発生する。それでも焼き鳥屋のオヤジは死んでいない…。囲炉裏とか炉端焼きも。

ここまでの話で一旦筆者の総括。
我々の科学は、どれが毒物、どれが栄養などとはっきり分けられるまでには発達していません。むしろ問題は、新しい科学の力で作られるものの中で、もともと自然界になかったものや、自然界とは隔絶して多い量で接するもののほうが危険なのです。
この論理から、放射線より蛍光灯、ダイオキシンより化粧品が危険であるという。

リサイクルにしても、自治体はヘンな処理の仕方をしているよう。キログラム405円の税金を使ってペットボトルを回収し、40〜50円で中国に売っているという。なんだかヘンだなぁ〜。
で、筆者の提案は、ゴミの分別は2種類でよいと。金属とそれ以外。金属は業者が種類毎に分けることは容易。それ以外は燃やしてしまうのが一番だと。最近の焼却設備は高性能なものになっているんだろうなぁ〜。

ここまでの話で、冒頭の疑問に戻る。昔は環境問題といったら公害しかなかったけど、今の環境問題は当時の公害とは視点が違うよね。生活者の立場からモノを考えないといけないのが今の環境問題。どう捨てるかを考えるより前に、どう生活するかを生活者が考えていかなければならないんだろうね。
偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書 (た-5-1))
偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する (幻冬舎新書 (た-5-1))武田 邦彦

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2008年09月22日

脳のからくり

『脳のからくり』を読んだよ。脳科学は、医学でもなく、物理学でもなく、化学でもなく、ましては哲学でもない。

サイエンスライターの竹内薫氏が、脳の基本をまとめたもの。あとがきにもあるように、筆者自らが勉強して書いたものなので、非常に分かりやすく書かれているよ。理解しやすいように例え話もふんだんに盛り込まれているし。

前半はどちらかというと医学系。生体としての脳の構造とか。例えば、脳のある生物の中でも人間が特に発達している前頭前野がおでこのあたりにあって、これが機能しないと、認知症症状になるとか。いわゆるゲーム脳は、脳的には認知症と同じ現象なのだとか。

そして、視覚で捉えた画像を脳がどう処理するかの問題。これは、人間が見たものは真実を伝えていないことがあることを明確にすることに繋がっていくよ。
そう、人間は真実を見ているのではないんだ。自分が見ているものと他人が見ているものが違うかもしれない。自分は赤だと思っていても、他の人は緑に見えているのかもしれない。これってすごく不思議な感覚だよね。

脳の神経細胞「ニューロン」が出てきて、ニューロンを繋ぐシナプスの話へと続く。繋ぐといえば、ネットワーク。脳の中はニューロンのネットワークで構成されているんだよね。そこへ「意識」の話が登場するよ。
脳が物質からできていて、その神経ネットワークから意識が生まれるのであれば、どんなネットワークにも多かれ少なかれ意識が存在する?
と筆者。疑問文にはしているけれども、これは大胆な仮説。意識は「ネットワーク上のエネルギーの相互作用」が原因だとも。事実、チャーマースという哲学者は「サーモスタットにも意識がある」といっているらしいよ。

さらに、ロボトミー手術、失語症、アルツハイマー型認知症と、脳が壊れる話が続き、最後に「クオリア」が登場する。
ここでは、ペンローズの量子脳が紹介されているよ。これは、脳の中では量子力学の波束の収縮という現象が起きているのだという仮説なんだけど、ここで量子力学が出てくるとはなぁ〜。驚き過ぎるよ〜。

本書の最後にやっと茂木さんの一稿が登場。クオリアについて、また新たな見方を提供してくれているよ。
クオリアは、それを実際に体験しなければ類推が利かないものであるからこそ、クオリアを感じてしまった人と、まだ感じていない人のあいだには断絶があります。その断絶を乗り越えようとして、私たちはコミュニケーションを試みるのかもしれません。
だからこそ、新しいクオリアとの出会いは、人を雄弁にするのでしょう。
そうそう、数値で表せるものは数値で示せばよい訳でもないよね。旅行の記録は写真を見せればよいって訳にもいかないよね。確かに、クオリアを伝えたくて、コミュニケーションしているね。納得〜。
脳のからくり (新潮文庫)
脳のからくり (新潮文庫)竹内 薫

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2008年09月21日

芸術の神様が降りてくる瞬間

『芸術の神様が降りてくる瞬間』を読んだよ。芸術の神様の言っていることは難し過ぎる…。

茂木さんが「ニューロンの回廊」というBS日テレの番組で対談したものをまとめた本。対談の相手は、町田康(作家、ミュージシャン)、金森譲(ダンサー、演出振付家)、山下洋輔(ジャズピアニスト、作曲家、作家)、立川志の輔(落語家)、荒川修作(建築家、コーデノロジスト)の5氏。いわゆる芸術分野で活躍する人たち。

初っ端は、町田康。小説を書くには魂が荒れている必要があると言う。
荒れていると、水が染むこむように音が沁み込むんですね。ツルツルしてコーティングされていると、弾き返しちゃうんですよ。魂がある程度、すさんでいるとは言いませんが表面がザラザラしていないといけない。
…と。じゃ、荒れた魂って何だ?って聞かれるとよく分からないんだけどね。単に屈折しているだけじゃ、荒れた魂にはならないような気がするんだけど…。
で、全体的に、町田康の茂木さんに食って掛かるような物言いが気になるんだけど。

二人目は金森譲。17歳でローザンヌのダンス学校に留学。一人きりの生活で、ひたすら自分と向き合うだけの生活。「何で、心臓は動いているんだろ」とか「体が動いているのは、僕の意思なのか、神の意思なのか」とか考えたとか。一人のプレッシャーってそれだけ強烈なのか…。
プレッシャーの話をもう一つ。プレッシャーが大好きで、そのアドレナリンが出てくる感じがよいとか。茂木さん的には、プレッシャー中毒になった要因として、そのプレッシャーを乗り越えた先に成功体験があったはずだとコメント。さらに、「プレッシャーが遊びの種になっているんだね。」…と茂木さん。

三人目は山下洋輔。この人は、アッシもよく知っている。「でたらめに見える秩序」という考え方が面白いよ。どんなにでたらめにやっているようであっても、本当のランダムは人間には作れないと。さらに、そのでたらめというのは、それまでの規則から外れているだけであって、新たな規則で生成されたものなのだという考え方。うん、これは発想の転換と言うか、元々、人間は規則を見出してしまうもの。これが不思議な感覚なんだよなぁ〜。
リズムだけで俳句は成り立つという会話もしているよ。例えば、
「ちりちとて むろめめくいと こむいらし」
「たつけんみ そほしむらいろ とてんつき」
なんかわからないんだけど、でも、なんか…いい俳句。…と二人。うん、アッシもそう思う。

四人目は立川志の輔。話芸っていうくらいだから、落語家も芸術家なんだろうね。
落語の最後の一番大切な場面で、お客さんの携帯が鳴った時の話に対して、瞬間的な状況判断は、自分を外から見ているような自分がいることでうまくできるのではないかと茂木さんが質問。それに対して師匠は、
ひょっとするとそうかもしれないです。自分よりも外にいる自分を鍛えるのが修行かもしれないですね。<中略>自分の外にいる、客観的に状況判断ができる自分をもう一人養うというか、つくるのが修行かもしれないですね。
と回答。修行の話まで発展するとは。

さて、最後に登場は、荒川修作。この対談は意味不明。荒川修作の言っていることが、アッシにはさっぱり分からず。岡本太郎風「芸術はバクハツだ!!」的発言だし。例えば、
地球上で人間くらい野蛮な生き物はないんだよ。それが証拠に、風に聞いたり、空気に聞いたりしてみろよ。「もうお前たちはしょうがない」って言うから(笑)。
久しぶりに読むのが苦痛…。

それでも、茂木さんのあとがきに書かれていたことで、何とか納得。
自らの成り立ちにおいて多様であれ。そして、容易には理解し得ない、異質な他者を許容せよ。
…と。
芸術の神様が降りてくる瞬間
芸術の神様が降りてくる瞬間茂木 健一郎

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2008年09月13日

哲学ってなんだ

『哲学ってなんだ』を読んだよ。岩波ジュニア新書にしては難しい…。

題名通りの内容だけど、なんだかスッキリ分かった!!までは辿り着かず。

冒頭は筆者の哲学との出会いについて。そこでは、哲学の思考法について述べるているよ。哲学の思考法は、真理をつかむためではなく、普遍的な世界のあり方を“作り出す”ための方法であると。
そう、哲学というと真理を探究するというイメージがあったけど、それはちょっと違うってことが分かった。

それを踏まえて、哲学とはなにか…というと、「世界」説明の方法である、と。近代哲学の登場以前は、宗教=神話が「世界の意味」を説明していたと云う訳。宗教との比較の中で出てくるのが、哲学の方法の基本原則。「非物語」「原理思考」「再始発」の3つ。詳しくは本書で。

哲学のパラドックスにも触れる。「アキレスと亀」「クレタ島人のパラドックス」「世界の始発点はあるのか」などの、パラドックスやアポリアについて、哲学はどう考えたのか?これにはカントが答えているよ。「事実問題」を考えているようであって、実は「推論方式」を考えているだけに過ぎないのだと。そして、これは哲学の弱点であるとも。

その後、近代の哲学者たちが続々と登場するよ。
デカルト、カント、ルソー、ヘーゲル、キルケゴール、ニーチェ、ハイデカー、フッサールetc。
ここでは、「自由」という概念について、深く探求する。「自由」を哲学はどう捉えていったのか。アッシは「自由」の奥深さを十分堪能。

最後は、「自由」の発展系として、「自己」とは何か。ここではフロイトが登場して、深層心理と「自己」の関連について、考察しているよ。
「自由」の中に他人との関係において、「自己」が位置付けられる。他人との承認ゲームを成り立たせることにおいて「自己」が存在するんだろうね。

こういう風に、読後感をまとめてみると、哲学について分かったような気になるけど、実際はまだまだ何も分かっていないような気がする。
それでも、入門としては、この内容で限界。本格的な本を読んだら、どうなっていたことやら…。う〜む。
哲学ってなんだ―自分と社会を知る (岩波ジュニア新書)
哲学ってなんだ―自分と社会を知る (岩波ジュニア新書)竹田 青嗣

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star哲学は、ホントはだれでも使える人生のツール(道具)
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2008年09月06日

入門!論理学

『入門!論理学』を読んだよ。懐かしい論理がいっぱい〜。

野矢先生の本は、過去に何冊か読んでいるけれども、どれもが事例というか、例題が楽しくて、それにつられて、つい考えてしまう。本文にも書いてあるけれども、例を考えるのにも、時間を掛けているみたい。

さて、本書。
論理学というとなんだか怪しげで難しげというイメージだけど、基本的には前提から結論をきちんとした手続きで導き出すだけの話。本書の言葉を借りれば、「ではない」「そして」「または」「ならば」「すべて」「存在する」といったことばが作り出す演繹的推論の全体を統一的に見通すこと…になるわけ。
だから、複雑ではなく、単純なことの繰り返しであるはず。ところが、単純なものを組み合わせていくと、結構難しくもなるよね。

以降は、論理で使用することばについて、詳細に見ていくことになる。ここではポイントだけ紹介。

「否定」の中で出てくる「排中律」という概念が面白いよ。「Aまたは(Aではない)」(排中律)という命題は普通に考えれば、成り立つのが当たり前に思えるけれども、論理学の世界では、排中律は成り立たないという立場もあるという。排中律が成り立つ立場は、神の視点から事象を見る立場を考えると分かりやすい。そして実在論的立場とも云うよう。こういう言葉が出てくるとなにやらまた難しげに感じてくるね。
もうひとつ。背理法も「否定」の中で登場。中学校の数学で初登場の背理法だけど、背理法は否定の意味そのもので、否定をより厳密に言い表したものだということがはっきりと分かるよ。

「かつ」(連言)と「または」(選言)では、ド・モルガンの法則が登場。これも中学の数学で出てきたよね。ここでは、否定・連言・選言の導入則と除去則を使って、ド・モルガンの法則を導き出すよ。日本語でド・モルガンの法則を言い表すと、「選言の否定←→否定の連言」と「連言の否定←→否定の選言」となる。すごくすっきりしていて美しいよね。こういう表現、好きだなぁ〜。

「ならば」で出てくるのが、対偶、裏、逆。これも中学で出てきたね。対偶は必ず真、裏と逆は必ずしも真ならず…って、思い出した。
論理的には、逆とか裏を使った推論は間違いやすいポイントだとか。確かにそうかも。そして、日常的にも間違えやすいので注意が必要だと筆者のアドバイス。

ここまで来て、証明するとはどういうことなのかという話題に触れる。前提があって、今までのことばのツールだけを使って、結論を導くこと。これがまさに証明。ツールが単純だからこそ、難しかったりするんだけど。当たり前じゃんと一足飛びで行きたいところを、じっと我慢して一歩一歩。ごもっとも。
ことばのツールの話が出たこともあり、公理系もここで登場。これは大学の数学レベルの話かもしれないけど。

最後は「すべて(全称)」と「存在する(存在)」。まさに、大学で初登場の概念。
この全称と存在を論理学として理解していれば、大学数学はすんなり入っていけるんだろうね。

あ〜、懐かしき学校数学の数々。話の内容もすっきりしていて、この二つの意味で楽しめました〜。
入門!論理学 (中公新書)
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2008年09月01日

里山ビジネス

『里山ビジネス』を読んだよ。玉村豊男ってこういう人だったんだぁ〜。

長野県東御市のワイナリーの経営を中心に、いわゆる里山でのビジネスのあり方について、自説と実践を紹介した本だよ。

まずは、玉村氏の経営する店のオープンシーンから。ワイナリーに併設のカフェレストラン。人里離れた山の中、お客さんが来るのかと危惧していたけど、かなりの来訪者があり。レストランでは出すものが無くなるほどだったとか。まぁ、著名人の店だってこともあるんだあろうけど、順調な滑り出し。

さて、ワイナリーの起業はどうだったのか。とにかく、必要な設備がすごい。醸造設備機器だけで、4500万。その他に土地建物、そして人件費。もちろん、個人的にワインを作るだけなら、これだけの設備は不要だけど、ワイナリーを作るのには、酒税法で最低規模が決められているのだとか。税金を徴収する側の立場から、法律が決められているような気がするよ。

玉村氏の云う里山のビジネスモデルとは何か。一言でいうと「生活観光」、「小さな観光」。産地のブランド化が流行っていて、どこの地方もそういうものを目玉にしようとしているけれども、狭い日本ではそれほど差別化できないし。
そこで、そこに住む人の普通の暮らしに触れるのが「小さな観光」だと玉村氏。
そう観光地より、その場所でそこに住む人を相手に商売をする店の方が面白かったりするのは、そういう「小さな観光」なんだろうね。

適切な経営規模の話も。
里山で経営を拡大しようとすると当然森を切り開かなくてはならない。ヨーロッパに今も広がる見渡す限りの草原は原生林を切り尽くしたあとの姿だとか。かつてはその森で豚を飼っていたのだが、豚が飼えなくなり餓死者も増えたという。そのかわりに牛を飼うようにもなったのだが。
この例が示すように、経営を拡大することだけを考えれば里山の暮らしが持続できなくなってしまうと玉村氏。

エコについても。
汚れた水を流すときも、ゴミひとつ捨てるときも、つねにまわりの植物や動物のことを考える…そんなことはエコなどという言葉がまだなかった頃から昔の人がふつうにやってきたことですが、ある意味では一種のエコライフといえるのかもしれません。
…と。都会の暮らしのエコとは全く違うよね。

里山の生活は都会に住む人たちにとって、一種の憧れではあるけれども、ビジネスとして考えると、大変なんだろうと思う。でも、氏のいう「確かな生活の拠点」としてビジネスを考えれば、それなりの成功はあるのだろうね。ここでいう「成功」とは都会の成功とは意味が違うのだけれども。
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