2008年05月18日

こころの情報学

『こころの情報学』を読んだよ。情報という概念はいったい何なんだ〜。

情報というと、すぐに思い浮かぶのがコンピュータ。コンピュータに蓄積された情報を、処理したり検索したり。そんなイメージが情報にはあるけど、それは単に「機械情報」という狭義の情報の概念。本質的な情報の概念とは…ということを考えさせてくれる本。
難しい論理も展開されているけれども、アッシ的には何となく分かるという理解までは出来たつもり。

「情報学」というフレーズに惹かれて、「こころ」の意味を深く考えていなかったけれども、本書を読んでみると、まさに「情報」と「こころ」は密接に関連しているみたい。
例えば、
情報は生命とともに誕生したのです。
と云う。そういう意味で、情報とは歴史とか時間の概念に沿ったものであると。

「機械の心」の章では、人工知能、オートポイエーシス理論など、機械がヒトにいかに近づけるかという話。

「動物の心」の章では、動物の行動を元に、動物の心とヒトの心の違いを捉える。
ホモ・サピエンスの唯一の武器は「予測し計算する頭脳」でしたが、その能力は同時に「未来への不安」という副産物を生むことになりました。明日の計画をたてることは、明日襲い掛かってくるかもしれない不安を抱え込むことでもあるからです。これが途方もないストレスを生むことは言うまでもありません。
時間とともに情報を抱え込んでいるのがヒトってことだね。
そう、ヒトは情報を処理できるものとして捉えてしまう傾向があるよね。情報の本質とはそういうものではないのだと。それについて、警鐘を鳴らしているのだと思うよ。

「サイバーな心」の章では、情報洪水はわれわれをどこに連れて行くかについて語る。
本来の<情報>とは生命の“意味作用”であり、社会的動物であるヒト特有の<言語>をはじめとする記号表象はその発展形として生まれてきたのですが、記号の意味内容が規範化されるにしたがって、意味内容をはぎとられた記号のみが機械的に複製・配布されるようになってきました。
確かに、この機械情報はヒトの心にはほど遠い存在だよね。だからといって、機械情報に振り回されない方法ってあるのか…っていうと難しい問題だけどね。自分自身がどう向き合うかなんだろうけど。
こころの情報学 (ちくま新書)
こころの情報学 (ちくま新書)西垣 通

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2008年03月30日

ウェブ社会をどう生きるか

『ウェブ社会をどう生きるか』を読んだよ。学問的にウェブ社会を見ると…。

まずは、情報とは小包のような実体ではないという筆者の考えに衝撃を受ける。だって、ネットワーク的にはパケットとか言って、まさに小包を届ける風だから。
でも、基礎情報学的には違うらしいよ。いわゆる関係性によってもたらされるものが情報だと。
そして、さっきの小包的な情報は、機械情報という狭義の情報として定義される。なるほどと言いながらも、理解し難い。
さらに、機械情報に支配された世界にストップをかける必要があると。
機械情報中心に生じている情報学的転回にストップをかけ、生命情報中心の情報学的転回に反転させることです。そういう文脈のなかでウェブがいかなる役割を果たせるのか、考えていく必要があるのです。

ウェブの集合知という考え方にも疑問を呈する。梅田望夫氏の『ウェブ人間論』での発言にも批判的。要は単なる機械情報では責任の所在が云々ということらしい。あと、グーグルの検索意図にも疑問を投げかける。

グーグル信仰に止めの一発はこの言葉。
あらゆる情報や知識を網羅的・一元的に集め、それを体系化してコンピュータにより検索できるようにする、といった一神教的な野心は捨てたほうが賢い、ということです。
これはまさにグーグルの目指すところ。だから、完全否定。機械情報からは、生命情報たる「知恵」は生まれないという考え方だ。

う〜む。ビジネス的な側面のウェブばかり考えられてきてけれども、学問的にはかなり見解が違うよね。
今まで、梅田望夫氏の著書をかなり読んできたアッシには衝撃的な一冊でした〜。
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ウェブ社会をどう生きるか (岩波新書 新赤版 1074)西垣 通

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2007年07月01日

事物はじまりの物語

『事物はじまりの物語』を読んだよ。日本人の創意工夫がよく分かるよ。

物事のはじまりをまとめた本。条件として、「日本人の」、「江戸から明治にかけての」が付くけど。

取り上げたテーマは、解剖、スキー、石鹸、洋食、アイスクリーム、傘、国旗、幼稚園、マッチ、電話、蚊帳・蚊取り線香、胃カメラ、万年筆…で全部。

ちょっとした薀蓄話なんだけど、それぞれが楽しい話だよ。

大黒屋光太夫はスキーしなかったとか、国旗が以外に新しいものだったり。
電話の事始め。「申す、申す。」が「もしもし」として今でも使われている。この「もしもし」って単独で聞いてみると変な感じ。
胃カメラの項も面白い。昔はずいぶん太い胃カメラを飲み込んでいたんだね。光ファイバー様々〜。

時折、筆者の思い出話が出てきたりするのもワンポイントで楽しい。事務所のことを「帳場」と書いてあっり、洋傘を「蝙蝠」と呼んで不気味がられたり。
職場で「帳場」って言葉、使ってみようかなぁ〜。
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2007年03月20日

思考の整理学

『思考の整理学』を読んだよ。20年以上前に発刊された本だけど、考え方は古くないよ。

いかに仕事を効率的、且つ楽にこなすかはサラリーマンの永遠の課題。それに関するノウハウ本、そして知的生活本の類は数多く出版されているよね。それでも、なかなか実践できないのはなぜだろう。
たぶん、手法については、ひとそれぞれだからなんだろうと思う。基本がしっかりしていれば、後は自分にあった手法で実践していくだけなんだけど…。

で、この本。いきなり出だしが面白い。グライダーと飛行機を例える。グライダーはひとに引っ張られて飛び立つ、そして自分の意思で自由に空を飛ぶことはできない。それを例えて、学校はグライダー人間の訓練所になっていると筆者。自力で飛べない人間が多しろ。

では、飛行機人間になるためには…ということで、思考の整理学を紹介。一番のポイントは、「まずは寝かせろ」だと。アイデアを熟成させること。寝かせるとは忘れることだとも。忘れてしまってはせっかくのアイデアが…と思うけど、それでホントに忘れてしまうようなアイデアはたいしたアイデアではないとも。

確かに、一度寝かせて忘れることも大切。「見つめるなべは煮えない」のだ。
頭の隅に置いておく事で、別のアイデアとの連携とか新しい視点とかが出てくるんだろうね。
もう一度、繰り返すけど、「見つめるなべは煮えない」のだ。この言葉で、筆者の考えのイメージが一気に沸きました〜。
思考の整理学 (ちくま文庫) (ちくま文庫)
思考の整理学 (ちくま文庫) (ちくま文庫)外山 滋比古

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2007年02月25日

進化生物学への道

『進化生物学への道』を読んだよ。ダーウィンは数学が数学が苦手だったとか…。

『進化とはなんだろうか』を読んで、長谷川先生の著書を読み始めているが、どれも読みやくて分かりやすいよ。このような一般向けの本を書き始めた理由についても、ちょっとだけ書かれていたよ。

さて、本書。前半は長谷川先生の幼少の頃からの読書の軌跡。それも現在の研究につながるものばかりなんだけど、子供向けの図鑑の話とか、ドリトル先生シリーズ、ビーグル号航海記など、定番ものがズラリ。定番といっても、アッシは読んだことがないんだけど…。

後半はアッシの興味のあるダーウィン話。ダーウィンの「“種の保存”という群淘汰の考えは間違っている。性淘汰の結果が種の保存の成果として現れているだけだ。」という考え方を紹介。よ〜く考えれば、当たり前のような気がするんだけど、どうも、この辺は勘違いしやすいよね。種の保存のために進化するなんて、個体そのものは生きる目的として考えているわけないしね。

そして、ダーウィンはこの性淘汰の理論で、人種の差異を説明しようとしたという。そして、ダーウィンの時代は、人種の差異は重要な問題だったとも。
今じゃ、笑えるような話だけど、当時はやっぱり真剣だったんだろうなぁ〜。
進化生物学への道―ドリトル先生から利己的遺伝子へ (グーテンベルクの森)
進化生物学への道―ドリトル先生から利己的遺伝子へ (グーテンベルクの森)長谷川 眞理子

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2006年12月23日

「まなびや」の行方

『「まなびや」の行方』を読んだよ。阿部謹也シリーズ第13弾。

阿部先生と日高敏隆氏との対談をまとめたものだよ。日高氏の専攻はは動物行動学。だから、どちらかというと理系。(理系、文系を区分するのは間違っていると阿部先生はいうけれど。)
でも、二人の会話はきちんとかみ合い、さらにはシナジー効果で面白い面白い。

そして、「まなびや」への新たな視点。国民からどう思われているか、意識していない「まなびや」の問題。ちょっと長いけど引用。
学問は全部そうなんです。それは日本の国民にとってみると、あまり縁がないわけですから、「勝手にやってれば」ということになる。しかもそれを国民の税金でやっている。アメリカでは、なにかというとすぐに「タックス・ペイヤーの権利」だとか「納税者の資格でもの申す」とかいうでしょう。日本では、タックスペイヤーなんていう言葉は聞いたこと内。どんな学会でも「今日の学会は、タックスペイヤーのお金で開きました、納税者の皆さんのお陰でできました」とは決していいません。
そうなんだよなぁ〜。これ、アッシが常に意識していること。そして、「趣味の学問ではなく、国民を意識した学問であってほしい」と阿部先生は言っているよ。

あ〜、亡くなられたのがなんとも惜しいことか…。
「まなびや」の行方 (MOKU選書)
「まなびや」の行方 (MOKU選書)日高 敏隆

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star日本国民の皆さん.学問や教育の現状から目を背けないで

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2006年11月23日

恋するコンピュータ

『恋するコンピュータ』を読んだよ。人工知能?言語学?はたまた医学?

優秀な営業マンの仕事振りを分析してシステム化したら…。こんな発想は誰にであると思う。筆者が実際に分析してみると、
認識→咀嚼→過去の経験の再体験→知識の組み直し→自分や社会への還元
というサイクルを、まるで取りつかれたように繰り返すタフな人間たちがたくさんいます。それはまるで、止まることを知らない知識獲得エンジンのように。
となる。そう、人間の行動は意外にシンプルなものなのかもね。
シンプルだとすると、それをコンピュータシステム化するのは容易いことのように思えるけど、実際はそうはいかないよね。それは何故か?
前書きが長くなってしまったけれども、その答えを本書が示唆してくれるよ。

と、ここまでが人工知能の部分。人工知能を作るには、脳の働きを分析する必要があるよね。そして、それを言葉にする。ここでは、筆者の「六歳の息子」を題材に、人間の脳の働きを分析しているよ。

人は「生きる」ために知識を獲得し分析し行動しているんだよねぁ〜。で、コンピュータと人間の違い。それは、「生きたい」という意志の有無なんだと思う。だから、人間に成り代わるコンピュータは有り得ないんだろうなぁ〜。
恋するコンピュータ (ちくまプリマーブックス)
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2006年09月22日

読書力をつける

『読書力をつける』を読んだよ。阿部謹也シリーズ第12弾。

阿部先生は亡くなってしまったけど、その著作は残る。先生の著作で読んでいないものはたくさんあるので、読んでいこうと思う。

「知のノウハウ」シリーズの1冊なんだけど、単なるハウツウ本だと思ったら大間違い。たぶん、勘違いして読んでしまう人は多そうな気がするけど。

内容的には、中世ヨーロッパでの読書のあり方から始まって、「教養とは何か」のテーマに繋がっていく。だから、『教養とは何か』や『自分のなかに歴史を読む』と重複するテーマが多々あるよ。この2作は既読なんだけど、本書の方が難解なような気がするよ。特に後半に登場する西順蔵氏の中国思想論文の話はまったく理解できず…。情けな〜。

そして、「自分のなかに歴史を読む」というテーマ。はっきり言って、この文章だけでは、何のことだかさっぱり分からず。この答えのヒントになるような文を引用してみる。
そういうなかで、自分のなかから歴史を読もう、自分を基準にして歴史を見ていこう、自分から出発して問いを立てようというのが、私の歴史とのかかわり方なのです。歴史というものを私はそんなふうに考えています。
今までのモヤモヤが少し晴れたような…。
読書力をつける (知のノウハウ)
読書力をつける (知のノウハウ)阿部 謹也

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2006年07月26日

グーグルGoogle

『グーグルGoogle』を読んだよ。IT関連本は久しぶり。

グーグルの戦略とその収益構造、そして副題となっている「既存のビジネスを破壊する」とは何か?など、ちょっと話題のグーグルを知るにはちょうどよい感じの本だよ。

そして、そのキーワードは「サーチエコノミー」、「キーワード広告」、「ロングテイル」、「アテンション」。
なるほどと思わせる戦略なんだけれども、マーケティング的には既に存在する概念だよね。けれども、この概念をIT技術によって一気に拡大させていったのが、このグーグルの戦略なんだろうね。

そして最後のキーワード「巨大な権力」。グーグルは全世界の情報をデータベース化する。そしてそれを囲い込むことで、巨大な権力となる。本書はそれを的確に表現するために、「司祭」という言葉を使っているよ。
そう、それはまさに全世界が監視され、司祭によって操られる世界。別の言葉としてグーグルは「神の遍在」であるとも表現されている。

う〜む、恐るべしグーグル。だけど、あのGmailの便利さには敵わないよなぁ〜。
グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)
グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する  文春新書 (501)佐々木 俊尚

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starグーグルについてよくわかる本だが…
starわずか2年前の書籍であるが、随分古く感じる
starネタとしては少し古いけど…

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2005年09月13日

学問と「世間」

『学問と「世間」』を読んだよ。阿部謹也シリーズ第2弾。

本書の前半は、日本の学者たちの現状分析。
わが国の学者たちは、それぞれに自分の「世間」を持っていて、「世間」に対して(論文を)書いている。だから、わが国の現実と関係が無いという事に気がついていない。
と、第1章では手厳しい発言。
要は社会に目を向けていないんだろうなぁ〜。内輪(世間)に評価されることが学者としてはすべてなんだろうなぁ〜。そのような学者たちの為に、アッシらの税金が使われていていいのかなぁ〜って思う。私立大学も例外じゃないけど。

第2章では現状の大学の問題点を指摘する。万葉集のある歌について、成立年代と時間について国立天文台に問合せたと事例を紹介し、
人文科学と自然科学との間だけでなく、人文諸科学相互の間ですら、ほとんど連絡がないのが現状である。その理由はそれぞれの学問分野の担当者が「世間」を構成しているためである。
と、分析している。
確かに、現実生活の中で直面する問題は、学問分野を横断するものばかりだよね。これを読むと、いざという時、本当に学者は役に立つのだろうか?って思うよね。

第3章はフッサールの<生活世界>の解説と改めての世間論。フッサールの解説はアッシには難解。だから、最後の数行を引用。ここだけは凄くよく理解できたから。
わが国の政治は「世間」の動きを見なければ理解できない。派閥の動静などは「世間」の典型というべきものである。

第4章は<生活世界>の教養について。単にお勉強の中で得た知識を頭の中で理論構築する学問はこれからは捨てられると筆者。現場主義を唱えるているよ。それが学問の社会への還元になるんだろうなぁ〜。それにしても「世間」を超える必要があるんだろうけど。

筆者の教養とは何かのひとつの答え「いかに生きるか」はアッシに充分な満足感を与えてくれたよ。
しばらくは、この阿部謹也シリーズが続きそうな予感。
学問と「世間」 (岩波新書)
学問と「世間」 (岩波新書)阿部 謹也

岩波書店 2001-06
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star講義に出て直接教えを請いたい
starためになったと思う方もいるだろう
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posted by りすじぃ at 12:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 00総記