2008年12月01日

日本を教育した人々

『日本を教育した人々』を読んだよ。頭がよい人は生き方が違う…。

以前、齋藤孝氏と梅田望夫氏の対談集は読んだけど、齋藤氏の単独本は初めて。

さて、本書。
幕末から明治に掛けての日本の近代化にあたって、政治的に活躍した人は多いけど、教育の視点から活躍した人は誰?っていうとすぐには思い浮かばないかも。
そんな視点から、4人の人物に注目し、日本の基盤をどのように作っていったかを紹介した本。ここで、「作る」とは「教育する」と読み替えてもよいよ。

まず一人目は、吉田松陰。松蔭は人柄としては落ち着いた人物であったと。その松蔭が孟子のテキストを読んで興奮し、熱く語るという。このように、書物を読むことで興奮することができるのが「教育する人」のひとつの素養であるのではないかと筆者。
読んでみたらわかるが、「孟子」はそれほど興奮するような本ではない。しかし、一見地味に思える本当に優れたテキストを見つけてきて、それがいかにすばらしいかを、自らの素直な心の動きや感動を交えて語ることができるのが、人を教育する人である。
そう言われて思い出した。高校の時、数学IIIで三角関数の微分積分を習った。その時の教員曰く、「おまえらよぉ〜、文系のやつらは三角関数の微分積分を知らないで、死んでいくんだぞ〜。悲しいじゃないか。お前ら、幸せ者なんだから、しっかり勉強しろよぉ〜。」。
ちょっと観点が違うか…。

二人目は福沢諭吉。有名どころは勿論『学問のススメ』。じゃ、その学問って何か?「学び続ける態度を教える教育」がそれではないかと筆者。「学問を活用し、それを支えとして生きていくのだ」ということを身をもって示してきたということだとも。
そうだ。学ぶとは生きることなんだったよね。それは経済的な為では決してない。阿部謹也先生も同じことを言っていたような。

三人目は夏目漱石。漱石は、これから日本人はいったいどうあるべきかを考えたという。それをどう表現したかというと、小説により「悩み方の教育」を施したのであると。これが、漱石ならでは教育スタイルであると。

四人目は司馬遼太郎。名前は聞いたことがあったけど、どんな人物でどんな作品があるのか知らなかったから、興味深く拝読。
司馬の作品は幕末から明治に掛けての時代が多い。それは、閉じていってしまう時代より、拡がっていく、希望にあふれた時代を書きたいという気持ちがあったからだと。そして、「昭和は精神に悪い」とも言ったと。希望にあふれた時代とは、司馬的にはまさに明治であったのだろうね。そして、『「明治」という国家』という本の中で、「明治という国家を、立体とひとつの物としてここに置いて考えてみたい」と述べているという。
ひとつの時代をひとつの国家として捉える視点。それをまたひとつの立体として捉える視点。やっぱり頭のいい人の視点は違うと思う。

さて、以上の4人に共通すること。
日本人がこれから生きていくのに、諸外国に翻弄されず、且つ自身をしっかり持つために、どうしたらよいかを教えてきたんだと思う。それがすぐに頭の中でイメージできたからなんだよね。頭がよいっていうのはそういうことなんだろうね。
あ〜、アッシは相変わらず何にもイメージが湧かないなぁ〜。
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2008年10月19日

さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を読んだよ。ちょっと前にかなり売れていたみたいだけど。

副題に「身近な疑問からはじめる会計学」とあるように、会計学の入門中の入門の本。とは言っても、普通のサラリーマンなら大抵知っていることばかりかも。B/SやP/Lを多少でも知っていれば、読むには値しないかも。

じゃ、何でアッシが手に取ってしまったか。それはやっぱりタイトルに引き寄せられたのかも。なぜ、さおだけ屋は潰れないのか?なんて考えたこともないけど、儲けの仕組みは知りたいと思っていたから。からくり的には、チャンチャンって感じなんだけど。

興味をもって読んだのは在庫コスト。在庫過剰が良くないのはイメージ的には分かるけど、会計的には明らかに損であることがよく分かるよ。トヨタのかんばん方式とかデルの注文生産方式とかユニクロの在庫を管理するシステムとかは、いかに在庫のコントロールが重要かを表したものだよね。

監査でのリスクアプローチの事例も面白い。
名画を見るときも、全体を見てもどこがすごいかさっぱりわからないときは、まずその絵の一部をじっくりと見ればいい。ダ・ヴィンチの「モナリザ」なら、まず彼女の手の描かれ方に注目すると。「これは描けない!」というようにそのすばらしさの一端がわかるという。
ホントかなぁ〜。監査のポイントとして、「木を見て、森を推測する」っていうのは、よく分かるんだけど。

さて、数字のセンスについて。確かに数学のセンスとはまったく違う。
「50人にひとりが無料」というセール。数字のセンスがあると、これは単なる「2%割引」と同じであることがすぐに分かるという。なるほど、これは納得。でも、「無料」と言う言葉に弱い大衆。

やっぱり、一番のポイントは「数字に強い」ってことかな。会計の知識が深くなくても、数字に強ければ、経営者としては素質があるって言っていいかもね。
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starいわゆるベストセラー本のひとつ。
star会計学の導入というよりは・・・
star読みやすいのですが……

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2008年10月18日

ハーメルンの笛吹き男

『ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界』を読んだよ。阿部謹也先生の不朽の名作。

子供の頃、絵本などで誰もが読んだことのあるという「ハーメルンの笛吹き男」の話。とは、言ってもアッシにはその記憶がない。ただ、なんとなく知っていたということは、どこかで見聞きしたことがあるんだろうね。それだけ知られている「ハーメルンの笛吹き男」の話について、史料を通してその真実を探ろうとするのが本書。

「ハーメルンの笛吹き男」の伝説の内容については、他のメディアに譲るとして、まずは1284年6月26日のハーメルンの町の様子と、その当時の社会的、時代的な背景を巡る。
13世紀だから、都市という機構が成立する時代ではあったけど、いわゆる普通の人々の生活は自由とはかけ離れたものであり、一定の支配者層の下に生活する人々であったわけだ。

そんな社会的背景の中で、この「ハーメルンの笛吹き男」の伝説を史実としてどう捉えるか。阿部先生は東ドイツ植民という観点から捉えた二つの説を紹介する。先に述べたように、一定の支配から解放されるために新天地を求めての大移動が有った訳だ。その一つの動きとして、130人の子供たち(若者だったという説)がハーメルンを出て行ったのだと。
ただ、阿部先生は、この東ドイツ植民のような出来事がこの伝説の背景であったとはどうしても考えられないという。

そして、話は再びハーメルンの人々の生活の様子に戻る。
中世社会は完全なる身分社会であった。乞食として生まれたものは一生乞食なわけだ。ところが乞食といっても、当時はそれは一つの専門職だったという。そして、乞食より蔑視されていた賤民層の生活。賤民については、阿部先生は他の本に詳しく書かれているので、そちらを読むとよいよ。
さて、子供たちの生活はどうだったのだろうか。これも子供たちなりに厳しい生活を強いられていたような。現代の子供たちは大人から子供の領分というものを与えられているが当時の子供たちは、それを自ら奪い取っていかなくてはならなかったとか。
子供たちは家庭でも学校でも道路上の遊びにおいても、大人が構成する社会の全体のなかに、何の斟酌もなく投げ込まれていたのである。
そこで、賤民と子供たちはどう繋がっていくのか。
かつて秋田の子供たちが「親のいうことを聞かないとなまはげが来るぞ」といって親の脅かされたように、また泣き叫ぶ子供たちが「人さらいが来るぞ」といって脅かされたように<笛吹き男>に象徴される遍歴芸人は子供と親にとってなまはげや、人さらいと似通った存在であった。
と、説明されているよ。

ところが、阿部先生の解釈は、<笛吹き男>に象徴される遍歴芸人の存在はこの伝説には薄いという。キーワードは「祭」だ。遍歴芸人の身分の低さが、事件の当事者に仕立て上げられたものであるのでは…と。

ひとつの伝説が語り継がれていく過程は、その当時の社会情勢を如実に反映しているよ。阿部先生はその点を上からの視点ではなく、人々の視点から分析する。アッシ的にはそういう視点が好きなんだなぁ〜。
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2008年10月06日

下流大学が日本を滅ぼす!

『下流大学が日本を滅ぼす!』を読んだよ。『最高学府はバカだらけ』に続き、“バカ”の連発。

『最高学府はバカだらけ』の二番煎じ風の本書。それでも、あまりに酷い大学生の実態。ホントかよ?って疑いたくなるが、あくまで筆者の取材に基づいていると。
アッシの周りにもたくさんの大学生がいるけど、こんな連中ばかりでないことを祈るばかりだ。あ〜、祈っているだけじゃダメかぁ〜。

さて、そのバカ学生の実態。
闘争心、忍耐力、精神力、ついでに体力無し。だから、諦めも早いと。その一方でヘンにまじめ。このまじめというのが、また怪しくて、
「考えることを放棄してしまった、思考停止のまじめさなのではないか」
という分析も有り。とりあえず、与えられたことをやるという姿勢が、まじめに見えるのだと。だから、好きにやれと言われると、何もできなくなる…と。

モンスターペアレンツの話題も。筆者は、「ファミレス、回転寿司化する大学」と表現しているよ。もう、親にも学生にも大学が甘く見られているのだとも。そして、今の学生はテレビを見ている感覚で授業を聞いているのだと。う〜む、これは納得。テレビはあくまで受動的。主体的にはなり得ないよね。最近の大学の講義室にはプロジェクタとかAV設備とかが必須になりつつあるのは、いいような悪いような。

そして、バカ学生が社会人となると…。親が決めたレールの上を何も考えずに進んできただけだから、いきなり社会の風は厳しすぎる。ダメ社会人の誕生だ。
抽象的な議論に付いていけないし、結局は手に職をつけた方がよかったりする場合も出てくるわけ。

最終章では、筆者の教育改革制度の提案が有り。
いい悪いは別にして、抜本的に改革することは必要だよね。でも、すごいエネルギーが必要だと思うよ。関わる人々の範囲が膨大になるから。特に大学の先生は保守的だからね。

さて、最後に。
ことの根本は、大学が増えて18歳人口が減れば、必然的に進学率が上がり、勉強しなくても大学に入れるようになったこと。とりあえず、大学でも出ておくかという姿勢で大学を卒業した学生が社会人として巣立っていく。これじゃ、社会も混乱する。
そういう意味で、『下流大学が日本を滅ぼす!』というタイトルは、アッシ的に違和感があるんだけどなぁ〜。
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2008年08月13日

脳を活かす勉強法

『脳を活かす勉強法』を読んだよ。茂木さんがいつも言っていることをまとめると。

脳科学者の立場から学習とは何か、勉強はどうするとよいかを考えるよ。とは言っても、要はドーパミンをいかに大量に効率よく出すか…といういつも茂木さん理論に行き着くよ。

そして、脳を喜ばせる手法の数々を紹介する。

ひとつは「没我」。この「没我」の境地に達していないと、向上することはない…と。これは自分と仕事を一体化すること。それでも本人はシンプルに仕事を楽しんでいる状態…であると。
そう、仕事でも勉強でも、集中するとあっと言う間に時間が経つけど、終わってみるとかなりの成果を上げていたりするよね。

勉強法については、『鶴の恩返し』勉強法。これは以前にNHKの番組「プロフェッショナル仕事の流儀」の茂木健一郎特集で紹介していたもの。まさに全身を使って覚える手法だよ。

記憶についての考察も。「歴史を忘れる者は、それを繰り返す羽目になる」という格言を紹介し、
歴史を知ること、過去を知ることで未来を予測することができます。逆にいうと、過去のことを知らないと、未来のことを予測し、想像することができません。
と、過去を忘れず、そこから学び続けることが脳を喜ばせるよい刺激になると説く。

「気づき」の重要性も。人生を変えるような学びの機会は、突如訪れたように思う…と。ふとしたきっかけが「気づき」の機会になることがあるよね。これを「一回性」というらしいんだけど、
脳には、いつ、どこで訪れるか分からない一回性の体験を、大切に刻印し整理していく働きが備わっています。この機能こそが僕たちの人生を豊かにつくっています。
…と。そう、一度気が付くとそれがあっという間に身に付いてしまうっていうことがあるよね。実際、アッシにもそういう経験があるし。脳科学的にはミラーニューロンの話に繋がるわけ。

「遇有性」も脳を喜ばす。contingencyはsecure(予想できること)とchallenging(新しいこと)が、うまく混ざっている状態。まさに、この不確実さが脳を喜ばすというわけ。
ここまでは、すでに茂木さんが言っていた言葉でアッシも知っているもの。最後に、新しい言葉が出てくるよ。それが「知のオープンエンド」。
学習はどんなに学んでも必ず次があって、青天井。限界がない…ということ。これを脳科学では「オープンエンド」と云うと。
僕は、学習の本質とは、この「知のオープンエンド性の楽しさを知ることだ」と考えています。
と、茂木さん。
そう、夢中になる楽しさは脳を喜ばすよね。
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2008年08月04日

イカの哲学

『イカの哲学』を読んだよ。ユニークなタイトルに惹かれたけど。

カミカゼ特攻隊員だった波多野一郎氏が書いた『イカの哲学』を中沢新一氏が現代的な解釈で蘇らせる。

前半は波多野一郎氏の紹介とその著書『イカの哲学』を収録。
早稲田大学在学中に学徒兵として航空隊を志願する。航空隊を志願した理由が
武士道精神の「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」の立場に立つとき、むしろ危険な航空隊こそがもっとも安全と考えられるというのでした。
というユニークな思考。

特攻隊員として、明日出撃というその前日にソ連軍が満州に侵攻、そこで出撃は中止になり、終戦。ソ連軍の捕虜となりシベリアでの過酷な労働。4年後に帰国するが、ソ連を見たから今度はアメリカということでスタンフォード大学に留学する。その結論は、
アメリカ文明の基礎も、共産主義として表現されたソ連の人間中心主義と、少しもちがっていないではないか、<後略>
というもの。
そして、留学中の夏休みにモントレーの漁港で、イカの箱詰めのアルバイトをしている中で、思考の閃光が走ったという。この閃光を表現したのが、波多野一郎氏の『イカの哲学』。

波多野氏の『イカの哲学』の内容は、まさに自分の経験を語ったもの。大助という主人公の経験談風ではあるけれども、波多野氏の思考を集大成したものなんだと思う。文章は荒削り。でも、何故かその素朴さに説得力がある文章だよ。

そして、大助君は何を思ったか。それは、
大切なことは実存を知り、且つ、感じることだ。たとえ、それが一疋のイカのごとくつまらぬ存在であろうとも、その小さな生あるものの実存を感知するということが大事なことなのだ。この事を発展させると、遠い距離にある異国に住む人の実在を知覚するという道に達するに違いないのだ。
と。本書のポイントをここですべて述べているような。だから、後半の中沢氏の解釈は、ここさえ理解すれば十分って感じ。

で、中沢氏は、『イカの哲学』を戦争と平和という観点からの解釈を行っているよ。

まず、思想家バタイユの考えを引用し、生命には「平常態」「エロティシズム態」の二つのモードが共存しているという。そして、「平常態」には平和しかないが、「エロティシズム態」には平和と戦争がある。エロティシズム態の平和は根源的な理由で、戦争を拒否すると。そして、平常態の平和には愛がないと。
エロティシズム態の平和は、戦争が発生する心の構造の噴火口に飛び込んで、戦争へ向かおうとする生命の衝動を、愛や慈悲につくりかえてしまおうとしてきた。
ということらしいよ。波多野氏の『イカの哲学』は、このエロティシズム態の平和にたどり着いたのだとも。

さて、波多野氏の『イカの哲学』で大助君が語る「実在」とは…。イカを食料としての有機物として見るということより、「心」をもった存在として見ることが実在の意味。そして、核兵器によって、今までの戦争のレベルを超えて、超戦争を体験した日本。超戦争では、敵の実存はいっさい消去されるという。敵となった兵士たちばかりでなく、非戦闘員の市民たちの実存も消去されると。
『イカの哲学』の考えることによれば、核戦争によって現実のものとなってしまった超戦争は、実存の無視という点では、出来事の構造から言えば、人間がイカたちにたいして平気でおこなっている行為とまったくパラレルである。
ここで、アッシはすっかり納得。

最後は何故かエコロジーまで辿り着くんだけれども、これはちょっと飛躍し過ぎのような…。

冒頭でタイトルのことを書いたけど、この時期、戦争モノの話題が出る季節。そういう意味ではタイムリーな本でした〜。
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star他の生物に”配慮”ができるのが人類
star波多野一郎の生涯に、限りない重さを感じる。
star中沢平和論のはじめの一歩

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2008年08月03日

世界一やさしい問題解決の授業

『世界一やさしい問題解決の授業』を読んだよ。まさにシステム化の為の思考方法。

経営コンサルタント会社・マッキンゼーでの手法を平易に解説した本。それでも、このような手法は、システム開発経験者なら、なんとなくやっている自然な手法だと思うよ。多少、亜流があったり、省略しても問題ないステップがあったりするんだろうけど。

まずは「まえがき」から。
どんなに複雑な問題も、いくつかの小さな問題に分解すれば、問題は解決すると書かれているよ。ここが、この手法のポイントなんだろうね。そう、高校の時の数学の問題を解く手法もそうだったから。小さな問題が解決したら、それをひとまとめにしておいて、大きな問題を小さくしてしまう感じかな。
さらに、
問題解決の応力を身につけるということは、<中略>自分の力で考え抜き、行動をする人になる、自分の力で人生を切り開く人になるということなのです。
も、もう一つのポイント。

本文は3章構成。
最初は、「問題解決キッズ」なるものを登場させ、問題解決の流れを説明。ここで分解の考え方を登場させているよ。その後、その分解を使った問題解決手法を2例ほど。

詳しい内容は本書を読んでいただくとして、前述したように、問題解決の手法は分解してしまえば、意外に平易。この本ならば、中学生から理解できるという。

ただ、手法と理解力は違うと思う。
Amazonの商品の説明欄に「世の中を生き抜くホンモノの思考力が身につきます! 」と書いてあるけど、これはちょっと違うような…。思考方法は身に付くかもしれないけど、理解力までは身に付かないのでは?
だから、考える力が必要なんだよね。そして、その為の訓練が小学校から行われていないといけないんだよね。
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世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく渡辺 健介

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star子どもには読ませたい
star中学生、否、小学生を対象とした問題解決の本
star作者の、子供に対する愛が伝わる本。

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2008年07月26日

日本人の精神と資本主義の倫理

『日本人の精神と資本主義の倫理』を読んだよ。茂木さんはトレンディドラマがお嫌いとか…。

いつもの茂木先生と経営コンサルタントの波頭亮氏の対談集。テーマは「日本人の精神」と書いてあるけれども、「現代日本人の生き方」に近いような。

まずは二人のプロフェッショナル論から。波頭氏のプロフェッショナルの定義は「公益性」。使命感をもって、自分の知識や技術を使って仕事をするがプロフェショナルであると。これは、ヒポクラテス(プロフェッショナルの元祖と呼ばれていたとか)の時からの定義でもあるとも。この考え方が、日本人は寄付をしないという話に、さらに二人の結論として「大衆というバケモノ」が野に放たれたという議論に展開していく。それが、こういう表現になって現れてくるよ。
僕はそうした事象と金持ちが寄付をしないこととの間には共通項があるとみています。ノーブレス・オブリージュ、高貴なるがゆえの義務を知るためには、精神的な価値が理解できなければならない。ところが、サンダル突っかけているオバサンも、100億円稼いだ資産家も、その精神性において違いなどまるでないのが今の日本なのです。
うわぁ〜、茂木さん、衝撃的なご発言…。
でも、この発言は大事かも。大衆の大衆性への迎合は、分かりやすさを優先するだけで、ハイカルチャーを生み出せない国を作ってしまうのだとも言っているよ。

続いて、日本人の個性について。日本人は総じて無個性であると。それは何事にも突き詰めて考えていないからだと。そして、個性のレベルが低過ぎて、まったく個性になっていないということ。
ここで登場するのが家康。秀吉は刀狩りをしたけれども、家康は心の刀狩りをしたと。
出る杭を打つ社会の仕組みを完成させ、突出した個性を徹底的に叩き潰すような国民性を作り上げてしまった。
と、波頭氏。茂木さんは「ピア・プレッシャー」という言葉を使って、同じようなことを言っているよ。

学習についても。
合目的的でない方向への変化についても学習であると茂木さん。逆にいうと変化=学習なわけ。学習は価値依存的な概念ではないともいう。これがカッコイイと波頭氏。

経済至上主義についても警鐘を鳴らす二人。若い人にどんな仕事がしたいか?と聞くと「20代で年収1000万以上の仕事」と答えるという。これは多くの収入を得ること自体が目的化していると。仕事ってそういうものじゃないでしょうという二人にアッシも同感。
資本の論理、すなわち、より多くの利潤を追求するために、われわれは限界を超えて、必要以上の利便と消費を強制的に享受させられているのではないか。
と、波頭氏の言葉。

こんな具合に面白い話が次から次へと出てくるよ。
で、最後の茂木さんの一言が傑作。
何だか燃えてきたなあ(笑)
何となく分かるよね。話が盛り上がって、じゃぁ自分はこうしてみようと思った時のワクワク感がこの言葉に表れているような気がして、嬉しいね。
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2008年07月24日

早稲田はいかに人を育てるか

『早稲田はいかに人を育てるか』を読んだよ。大学人が自大学について語ると…。

早稲田大学総長・白井克彦氏が、早稲田大学の教養課程改革について説明しているよ。
冒頭、いきなり早大生は勉強するようになったという話から。それは、勉強するようになるための「しかけ」を早稲田が仕込んだからだと。

ひとつは学内のオープン化推進。学部の垣根を越えた科目の設置、さらには協定を締結している他大学の科目の履修など。かなりの人気を集めているとか。
もうひとつは「テーマカレッジ」の創設。これもオープン化の一つで主に1、2年生を中心とした少人数教育科目。テーマも多彩。低学年からのゼミで、「正解の無い問い」と向き合うことや「大学で勉強するとはどういうことか」といったことを学ぶという。
その他に、「チュートリアル・イングリッシュ」などの徹底的な語学スキル習得の為の教育などを進めたようだよ。

「教養」についての筆者の考え方。個人的な要素が強いという。教養と獲得するために…という話題でこう言う。
そこでキーになるのは、対象に向けての「楽しい」だとか「好き」だとかいった感覚だろう。それがないと、集中力も持続力も維持できず、深度を探求できない。
これって、どこかで聞いた言葉だなぁ〜。梅田望夫氏や茂木健一郎氏も言っているような…。

早稲田の改革は「学生本位」であると筆者。ここで何故か大学紛争の時代との比較の話が出るんだけれども、比較してもしょうがないような…。
最後に引用。
重要なのは、学生に求める「ものの見方や感じ方」のレベルをできるだけ高いところに設定し、なるべく早い時期に「考える刺激」を与えることだ。
と。これも、茂木健一郎氏的に言えば、脳の活性化なんだろうね。

さて、全体的には早稲田の自慢のような。こういう時代だから、自大学のことを新書で出せば、十分な宣伝になるわけだし。
まっ、業界的には参考になりました〜っていうことで。
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star全く読む価値はない
starなんだこれは……
star日本の大学改革のひとつの例

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2008年07月22日

私塾のすすめ

『私塾のすすめ』を読んだよ。学ぶことの可能性は無限大だぁ〜。

齋藤孝氏と梅田望夫氏の対談集。タイトルに「塾」があるように、ふたりが教育論を語るっていう感じ。

梅田氏は得意のロールモデルについて。すごく偉い人において、それを口に出して言えばいいと。日本人は小学生で偉人伝を読んで、それで終わりだから。

齋藤氏は「あこがれ」論を展開。教育は「あこがれにあこがれる」という構造だとか。そして、このふたりの思考は、ロールモデル思考=あこがれる力という結論に帰着するよ。

そして、齋藤氏の手法がすごい。
僕は結構、「無理やり」というのが好きなのです。
講演会などで、まったく話を聞く気のない人を立たせて体操させたりするとか。梅田氏が言うようにこれはすごい情熱。

モチベーションのない人に対してどうするかについても、面白いよ。
「習熟」という言葉を使っているけれども、要は成功体験。微分積分を中学生に教えて、多少でも理解できると自信が生まれる。そうすると、そこに辿り着く前の真ん中の部分が落ち着いてできて、自信が持てると。そう、展望が開ければ、何事にも落ち着いて対処できるんだよね。

「ノー」と言われたくない日本人の話も面白いよ。日本人は「ノー」と言われることに対して弱すぎると。うまくいかないことが普通なのに、先回りをして引いてしまう。提案と自分の全人格はまったく別のものということ。気が付かないと言うより、染み着いてしまったのか…。

さて、本書のキーワード「私塾」。ふたりの教育論を実践する場として、ネット上に展開される「私塾」を想定しているわけ。想定しているだけでなく、適切な場だとも。梅田氏の持論を齋藤氏も肯定するのが意外な感じ。ふたりとも1960年生れだから?アッシもほぼ同年代。今後は齋藤氏も要チェックです〜。
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2008年06月01日

にっぽんの知恵

『にっぽんの知恵』を読んだよ。日本人は日本人論とか日本論が好きだと思う。

筆者が、各テーマにそって、その分野で明るい人物を集め、共同討議という名の対談を行う。それをまとめたもの。

テーマはさまざま。勿論、日本人の特徴をよく表すものが選ばれているよ。

「花見」では、群桜、群衆、飲食の三要素があると。ところが、それは日本人だけの感覚。英語のcherryはサクランボ。つまり食べるのが目的になっている。桜の花を表すには、cherry blossomと言わなければならない。ここには欧米人と日本人の気持ちの持ちようの違いが映し出されているのではないかと。

「サル学」では、ダーウィンの進化論の捉え方について。「サルと人間の祖先は共通だった」という話に対し、日本人は「そうだと思っていた」と面白がるが、アメリカでは「そんなこと、聖書には書いていない」と猛反発があったとか。

「ありあわせ」では、百姓という言葉の意味について。これは、その時どきに、さまざまな稼ぎ仕事をする人々といった意味の「百の姓」だと。これは、近代日本の高度成長を支えた、いわゆるゼネラリストの祖先としての意味を持っていたのではないかと。

「缶コーヒー」では、“一息入れる”には二つの意味があると。「他の誰かと一息入れる」と「独りで一息入れる」だ。これは大きな違いだよね。

と、まだまだテーマは続くんだけど、本書の底流には、矛盾を自然に肯定する日本人という考え方が流れているように思う。本書的に表現すれば、論理的に矛盾があっても「ちょうど好い加減」が最適なんだという考え方。これは、憲法第9条に表現されているとも云う。そう、これが「にっぽんの知恵」の真骨頂だと。

いい悪いは別にして、そういう意味では「にっぽんの知恵」が通用しない時代になっているような気がするなぁ〜。
にっぽんの知恵 (講談社現代新書 1923)
にっぽんの知恵 (講談社現代新書 1923)高田 公理

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2008年05月04日

「ビミョーな未来」をどう生きるか

『「ビミョーな未来」をどう生きるか』を読んだよ。気になる杉並区和田中学校長が著者。

中学生に向けて、これからの世の中の考え方とか、その中でどのような仕事を選択していくかを説いた本。大人のアッシでも、整理されていて分かりやすいよ。

中学生ともなれば、将来のことをまともに考えられるようになるんだろうけれども、それでも普通の子は、小学生の時の夢は現実的に見ると厳しいことが感じられてくるよね。
それで、結局、よく考えないままに、サラリーマンにでもなるか…なんて、お決まりのコースを進んでしまう。
でも、よくよく考えてみると、職業なんて山ほどあって、なんにでもなれるのが今の世の中だと思う。
じゃ、そのなりたいものになるには…。

この回答に、筆者は「クレジットを高める」という表現を使っているよ。
周囲からの「信頼と共感」とか、大人としての「信任」といっているものを総称して、僕は「クレジット」と名付けているんだ。
学校での活動は、すべてこのクレジットレベルを上げるためのものだ…と筆者。RPGの「経験値」と同じだ…とも。
そして、そのクレジットレベルを上げるためのチカラは、「集中力」と「バランス感覚」。これを小中学校の時に身につけて欲しいと。

「仕事」への向き合い方も。与えられた仕事自体を「好き」になるコツを披露。
それは、与えられた仕事を自分で工夫して、自分ライクに変えていくこと。自分の最も得意とするキャラで勝負することだ。
そうそう、同感。

今までの「成長社会」とこれからの「成熟社会」の違いも説く。そして、「成熟社会」で生きるためのチカラは「情報編集力」だと。
「情報編集力」というのは、「正解」よりも「納得解」と導き出すチカラです。
…と。

「クレジット」という考え方。サラリーマン生活24年のアッシにも十分通用する考え方だよね。「高クレジットサラリーマン」を目指します〜。
「ビミョーな未来」をどう生きるか (ちくまプリマー新書)
「ビミョーな未来」をどう生きるか (ちくまプリマー新書)藤原 和博

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star大学生や20代前半の方にも良いのでは。
star将来の夢は?と聞かれたら?
star夢は逃げない。

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2008年04月23日

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか

『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』を読んだよ。若者の働き方は本当に変わっているのかなぁ〜。

本書のキーワードは「昭和的価値観」。全編にこのキーワードが流れているよ。
さて、その昭和的価値観って一体何だろ。それは年功序列というレール。そして、若者の労働が団塊世代の給与を稼いでいるという論理。
これに気が付いた若者は、レールに乗っても3年でそのレールを降りてしまう。そして、アウトサイダーが増えていく。会社はキャリアを積むきっかけにしかならなくなっていく。なんとも負のスパイラル。
…と、ここまでは前著『若者はなぜ3年で辞めるのか?』と重複する部分が多し。

昭和的価値観に話を戻す。本書では、22の昭和的価値観を取り上げ、それを否定する事例を上げているよ。それらがすべてアウトサイダーの生き方。彼らなりにビジョンを持ち、仕事に邁進する姿勢は、アッシのようなダメサラリーマンに勇気を与えてくれるよね。

そして、本書の中でも書かれているけれども、若者を送り出す大学側の立場も変わっていかなければならないんだろうね。たまたまあるTV番組で見たことが本書の内容と関連有るので書くけれども、日本の大学は、赤ちゃん受け渡し型だと。何も知らないまっさらな赤ちゃんを企業に受け渡すだけの大学。欧米の大学は、棒高跳び型だと。棒高跳びの棒とその飛び方を大学が教授し、社会に飛んでいく姿をイメージしていると。
分かるような気がするよね。

さて、若干景気が良くなってきているけれども、それが逆に昭和的価値観を復活させる気配があるとか。これからの日本が気になるよね。
でも、アッシも昭和の価値観にどっぷり浸っているので、エラソウなことは言えないよなぁ〜。
3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書 (708))
3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書 (708))城 繁幸

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star安易な提示がない点に誠実さを感じる
star昭和的価値観への決別なるか?
starアウトサイダー的生き方の中間報告

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2008年02月24日

高校生のためのメディア・リテラシー

『高校生のためのメディア・リテラシー』を読んだよ。予想した内容と違う本だったけど…。

メディア・リテラシーって聞くと、すぐにIT系のメディアを思い浮かべるアッシ。だから、ITメディアのリテラシーについて高校生に説く本だと予想したんだけれども、違ったよ。ここでいうメディアとはマスメディアとかの意味に近い。本書の内容としては、長野県のある高校の放送部の活動を通して、高校生たちが「メディア使い」に成長する様子をまとめたもの。

「メディア使い」になるためには、「4つの関係性」が骨組みとなる。それをモデルとしてそれぞれの事例を紹介している。

一つ目は「自分と社会の関係性」。青木湖の減水についての取材を通して、自分と社会の関係性について考える。その鍵となるものは、「知るというのではなく気づく」ことだと筆者。これに「やらされていた」ことが能動的なものに変化するのだと。

二つ目は「メディアとの関係性」。本書では、「伝えるメディア、伝える方法との格闘」という表現も。小道具やカメラワーク、演出方法など。ただ、ここでも格闘する苦しさよりも「苦る楽しい」という表現を使っているよ。分かるような気がする。

三つ目は「自分の中の他者との関係」。受け手としての自分と送り手としての自分、両者の立場の視点が必要だと。クラブ活動を事例に説明しているよ。

四つ目は「循環する関係性」。作られた作品がフィードバックされ、それが作者たるコミュニティーを変えていくという。文化祭や卒業式、入学式までもがメディアによって変化している事例が紹介されているよ。

確かに高校の部活でここまでの活動をすることは凄いことだと思うよ。多分、勉強より楽しかったんだろうなぁ〜と思う。そして、そのモチベーションにより、進学の目標が明確化されるんだろうね。
高校生…、あの頃アッシは何を考えていたんだろ。
高校生のためのメディア・リテラシー (ちくまプリマー新書 69)
高校生のためのメディア・リテラシー (ちくまプリマー新書 69)林 直哉

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starある高校教師の「メディアリテラシー」物語

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2008年02月06日

タテ社会の人間関係

『タテ社会の人間関係』を読んだよ。1967年発刊だけど、いまだに読み継がれているみたい。

「世間学」の原点かと思っていたけど、ちょっとニュアンスが違ったかな。副題は「単一社会の理論」。あとがきにもあるけれども、単なる日本人論ということではなく、たまたま日本が単一社会だっただけ。でも、日本人の特質を述べた本なんだけどね。

で、その「単一性」のキーワードは、「場」による集団の形成、平等主義、同類との競争、感情の優先する世界の形成の4つ。

「場」による集団の形成では、以下の引用が象徴的。
日本社会は、全体にみて非常に単一性が強い上に、集団が場によってできているので、枠をつねにはっきりしたおかなかれば−−集団成員が自分たちに、つねに他とは違うんだということを強調しなければ−−他との区別がなくなりやすい。そのために、日本のグループはしらずしらず強い「ウチの者」「ヨソ者」意識を強めることになってしまう、という集団構成の質のあり方が問題であろう。
で、「ウチ」がすべての世界になってしまうという。

そして、平等主義は序列偏重を生む。誰もが能力的に平等ならば、序列として別のスケールが必要になってくる。それが学歴であったり、生年であったり、入社年であったり。先輩後輩という「タテ」意識の強さが十分に理解できるよね。

ワン・セット主義という考え方も面白いよ。「タテ」意識が強いから、ウチの中で何でも屋になってしまう。何でも屋がたくさん存在すれば、それが同類との競争になる。デパートか総合大学とかがワン・セット主義の事例として上がっているよ。確かに「ヨコ」意識が強ければ、連携体制になるはずだよね。

最後は、感情の優先する世界の形成。これは、頭に「論理よりも」と付く。しかも、それが重要な社会機能を持っているという。
日本人の価値観の根底には、絶対を設定する思考、あるいは論理的探求、といったものが存在しないか、あるいは、あってもきわめて低調で、その代わりに直接的、感情的人間関係を前提とする相対性原理が強く存在しているといえよう。
このことは、前に述べた、リーダーと部下の力関係における接点としてのルールの不在、人と人との関係における契約によって表現される約束の不在ということによっても、遺憾なくあらわれているところである。
このルールの不在という点も「タテ」社会の特性。ルールが無くても、柔軟に権限がタテに移動するってわけ。いいような悪いような…。

とにかく、日本は社会構造的に特殊な社会であることがよ〜く分かったよ。でも、それが効果的に働く場合も有り、逆効果となることもあるってこと。その点をよく知った上で、世渡りしていくのがいいってことなんだよね。
タテ社会の人間関係―単一社会の理論 (講談社現代新書 105)
タテ社会の人間関係―単一社会の理論 (講談社現代新書 105)中根 千枝

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star日本社会は、40年前から変化していない。
star秀逸な社会構造論
star民族のメンタリティは簡単には変わらない

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2008年02月03日

ニッポンの大学

『ニッポンの大学』を読んだよ。業界的に注目されるのはいいことだろうけど…。

あらゆる視点から、ニッポンの大学についてランキングを調査し、それを取り纏めたものだよ。まさに「あらゆる視点」。
これだけの種類のランキングを作れるっていうのは、大学の特性として要素が多いからなのではないかとも思える。ステークホルダーの範囲の広さとかも関係しているのだろうね。

ランキングについての大学の反応として面白かったのは、それを大学の指標として利用するという手もあるってこと。これは今までの大学には無かった姿勢かもね。一概に指標だけに注目しそれだけにしか目が行かないのはいいとは言えないけど、そういう視点が必要だよね。

また、ランキングが上位に来ている大学でも、その事情を知れば、何だかなぁ〜って感じになるところも多々有るよ。それは、大学が変革の時代を迎えていることを意味するのでは…なんて希望的な思いと抱くことはあるけど。

ただ、あとがきの直前に書いてあるけど、普通の大学は学生に教育することをその使命とするわけだけれども、その部分についてのランキングは存在しない。ステークホルダーの満足度とかは、受益者個人の問題だから簡単に数値化できない部分なんだよね。
そんなランキングが発表されたら、今の大学業界なら大混乱かもね〜。
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ニッポンの大学 (講談社現代新書 1920)小林 哲夫

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star大学を外見的統計で測る無意味さを暴露?!
starランキングを出す者が持つべき、責任感が勉強になった。
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2007年12月06日

分数ができない大学生

『分数ができない大学生』を読んだよ。その根は深く、大きい。

分数ができないってタイトルにあるけど、分数だけではなく、数学でできない大学生が大量発生し、そのまま社会に出ていくことの現状と警鐘を鳴らした本。
執筆者はいろいろだけど、俗にいう理学部系数学科の先生はひとりもおらず。なんとなく、分かるような気がするよ。純粋数学とはちょっと離れた話題だからかも。

ポイントは二つ。「考えることの拒否」と「受験の情報戦化」ではないか。

まずは「考えることの拒否」。最近の若者は、感覚的な表現はできるけれども、論理的な表現が苦手だと指摘されている。そして、試行錯誤をせずにすぐに諦める傾向が強い。条件反射的丸暗記教育の結果だと。

もうひとつの「受験の情報戦化」。要はいかに楽に受験し、合格するか。その為に情報を集め、いかに有利に受験を勝ち抜くかだ。それは、数学軽視に繋がっていく訳。数学の苦手な高校生が、受験科目に数学がない大学を受験する→受験生が集まる→同様の大学が増える。
そして、「分数ができない大学生」が生まれるのだ。

教育は中長期的な施策が必要なもの。今から手を打っても、効果が現れるのは中期的なスパン。今すぐにでも手を打たないと日本の将来は危ういぞ〜。
分数ができない大学生―21世紀の日本が危ない
分数ができない大学生―21世紀の日本が危ない岡部 恒治 西村 和雄 戸瀬 信之

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star本当は学力低下を指摘した本ではない
star数学教育の破綻が進んでいるのを見るのは悲しい
star20年後に慙愧の念で回顧されることのないように・・

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2007年11月24日

小学生に授業

『小学生に授業』を読んだよ。「課外授業ようこそ先輩」的。

国際日本文化研究センターの教授陣が、近くの小学校に繰り出し、5、6年生に授業を展開したときの模様を本にしたもの。だから、冒頭の「課外授業ようこそ先輩」を思い出したわけ。

登壇の先生は総勢9名。国語から社会、理科、道徳まで。

その中でもアッシが面白いと思ったのは、宮沢賢治の話。あまりにも有名すぎて、アッシは宮沢賢治の作品を読んだことがなかったから。この歳になっていまさらって感覚もあったけど。
『注文が多い料理店』ってこんな話だったんだ〜と感心。

交渉の話も面白い。交渉にも理論があるし。そうゲームの理論だよね。そっか〜、これは一見社会の授業のような気がするけど、算数の授業でもあったわけか。

その他にも人種の研究とか三国志とか。どれも面白い面白い。

体系立てたものを順序良く学ぶことも必要なんだろうけれども、その土台の上で、いかに考えていくかということを学ぶのも大切なんだろうね。そうなれば、勉強が面白くなる。小学生の時に、そう思うことは大事なんだよね。
小学生に授業 (小学館文庫)
小学生に授業 (小学館文庫)河合 隼雄

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star楽しい授業風景がうかびます

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2007年10月21日

大学の教育力

『大学の教育力』を読んだよ。大学って何を教えるところだろう。

大学改革がメディアで言われるようになって久しいけれども、それは財政や経営的なものが多いような。そろそろ教育についての改革が注目されてもいいのではと思っていたけど、これだという目玉は出てこないような…。
そんな中、教育改革を理論的にまとめたのが本書。

大学の歴史から始まって、アメリカと日本の教育モデルを紹介。そして、どういう改革があるのかを探っているよ。

日本の大学というと、まずは研究があって、その成果をベースに教授が学生に伝授するというスタイル。だから、まずは研究有りき。学生の自発的な学習が前提となる。
アメリカは逆に誘導型。教育目標があり、その目標に誘導するようにカリキュラムが組まれている。それは職業を意識しているからだと。

結局、研究重視か教育重視かということになるんだろうけど、どちらが社会に求められているのかの違いになるんだろうね。日本の場合は、どちらも求められていないような気がするけど。
となると、社会に求められるような大学にならなければ、いけないんだろうね。その次のステップで教育か研究かを各大学が選択することになるだと思う。

教育改革の手法も数々あるよ。聞いたことがあるもの、実際に実践しているもの、それぞれがカテゴリに分類されていて、分かりやすい。そういう意味で、なんとなくこんなことがあるねって考えていたことが整理されていたので、アッシ的には満足の一冊でした〜。
大学の教育力―何を教え、学ぶか (ちくま新書 679)
大学の教育力―何を教え、学ぶか (ちくま新書 679)金子 元久

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starなぜ大学なのか?
star大学の今と今後
star学生のパターン化がおもしろかった

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